研究課題/領域番号 |
22K00302
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
森田 直美 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (10552945)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 小袖模様雛形 / 女子用往来 / 小倉百人一首 / 文学意匠 / 小倉山百首雛形 / 百人一首 / 和歌 / 源氏物語 / 伊勢物語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題において、期間内に実施を予定している主な研究内容は二点ある。 一点目は、平安期から中世期の和歌、および『源氏物語』『伊勢物語』を中心に、小袖模様雛形における文学意匠の意図や形成過程を追究することである。また、個別の検討を集積し、絵画や工芸品との比較を通して、小袖模様雛形ならではの文学意匠の特色を総合的に論じる。 そして二点目は、「小袖模様雛形における文学意匠集成」を作成することである。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度に引き続き『小倉百人一首』の意匠化に特化したものに注目して研究活動を行った。具体的には、貞享五年(1688)刊『小倉山百首雛形』と、元禄五年(1692)刊『新編百人一首絵抄』との関係性に注目しつつ、後者が後代に隆盛期を迎える女子用往来に通じる性質をもつことを論じた。 『新編百人一首絵抄』は、『小倉百人一首』の注釈書である。一人ひとりの歌人ごとに、和歌、歌仙絵、注釈、さらに歌意絵の代わりとして小袖模様雛形が呈されている。その小袖模様雛形はオリジナルではなく、『小倉山百首雛形』の意匠が転用されている。 ただし、『新編百人一首絵抄』が『小倉山百首雛形』の意匠を摂取する際に、モチーフを変更したものや、全く別の雛形に置き換えたものも少数ながら確認できる。それらを概観すると、意匠の意図を理解しにくいものが、より分かりやすい表現に変更されたのだと察せられる。 『新編百人一首絵抄』の序文には、同書が主要な読者として女児を想定していると記されている。つまり同書は、和歌の初学者たる女児の勉学に資する教養書として生成されたと考えられ、上記の変更は主要読者の理解力に合わせて行われたのだと想像される。 『新編百人一首絵抄』に見る上記のような性質は、後代に隆盛する女子用往来に通じており、その先駆けと位置づけられる点について指摘した。 なお、以上の研究成果は、和歌文学会11月例会(於:日本大学)での口頭発表(発表タイトル「女子用往来と小袖模様雛形―元禄五年刊『新編百人一首絵抄』の生成―」)や、論文「女子用往来と小袖模様雛形―元禄五年刊『新編百人一首絵抄』の生成―」(『明治大学教養論集』通巻575号、2023年12月)をもって公表した。さらに次年度に向けて、『源氏物語』を意匠化した小袖雛形の抽出、および伝本調査、論文執筆準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究目標は、『伊勢物語』『源氏物語』を題材とした小袖雛形の図案研究を行い、論文や口頭発表を通して成果を公開すること、および『源氏物語』に関する小袖雛形抽出作業を進めることであった。 『伊勢』『源氏』を題材とした小袖図案の抽出、および研究は、概ね予定通り進んでいるものの、口頭発表や論文による公開には至らなかった。しかし、2024年度の早い段階で発表を予定しているため、研究の遅れにはあたらない。 また、今年度の研究活動の中で、とりわけ『新編百人一首絵抄』に力を注いだのは、本科研課題を遂行する中で同書の位置づけを検討することが重要と判断したためである。当初の予定とは異なるが、課題遂行上、非常に意義のある研究とその公開を行うことができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、『源氏物語』を題材とした小袖模様雛形に関して、口頭発表や論文を通して研究成果を発表する。具体的には、貞享4年(1687)刊『源氏ひながた』が収載する図案の生成過程やモチーフに込められた意図を明らかにする。同書の小袖図案については、先行研究による検討がいくつか確認できるものの、まだまだ解明できていない点が多い。小袖模様雛形だけではなく、先行する文学作品や後代の女子用往来などと対照させることで、より深い検討が可能となるだろう。 また、これと並行して、同じく『源氏物語』の意匠図を多く収めるものの、現存伝本が乏しことからほとんど研究されてこなかった、『源氏千載ひながた』(享保頃刊)についても考察を進めたい。 さらに、次年度に向けて『伊勢物語』に関連する小袖模様雛形の抽出と研究を進める。
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