研究課題/領域番号 |
22K00312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
陳 捷 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40318580)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 清国駐日公使館 / 孫点 / 近代日中文化交流史 / 日中文化交流史 / 駐日公使館の文化活動 / 明治日中文化交流 |
研究開始時の研究の概要 |
明治以降、日中両国の人々は両国間を往来して直接交際できるようになり、文人・学者間の交流も一層拡大し、それ以降の文化交流の基礎を築いた。この時期に日本に滞在した中国人の記録は近代における両国人の相互認識の変遷や明治期の日本社会を理解する際の重要な手がかりである。本研究においてはこの分野の研究の深化を図り、日本に四年間滞在した清国公使館の随員である孫点の日記・詩文集などの新出資料を総合的に考察し、彼と同僚たちによる日本社会に対する観察と記録を分析し、特に書画会、詩文結社などの文筆活動を通しての両国人の交流の様子と、それを通して得られた相互認識の変遷とについて検討していきたい。
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研究実績の概要 |
本研究は日本に四年間滞在した、清国駐日公使館の随員である孫点に着目し、彼が編集した日本人との漢詩唱和集および従来ほとんど知られていなかった日記、詩文集などの数多くの未刊自筆稿本の整理、研究を行い、彼と同僚たちによる日本社会に対する観察と記録を分析し、特に書画会、詩文結社などの文筆活動を通しての両国人の交流の様子と、それを通して得られた相互認識の変遷とについて検討していくことを目指すものである。これらの研究により、明治前期における清国公使館の外交官たちの日本での日常生活および彼らの日本の朝野の各界との交際の様子を明らかにし、また、一次資料の整理・分析によって清国駐日公使館のスタッフたちの日本社会に対する観察を考察し、彼らの明治維新後の日本という新しい時代と空間のなかにおける異文化体験をリアルに浮き彫りにして、さらに明治前期の日中文化交流におけるネットワークの具体像の解明をも目指していきたい。本研究は近代日中文化交流史上の空白を埋めることができるのみならず、当該研究分野の新しい展開を導くきっかけとなることも期待されるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
孫点日記の整理、標点はほぼ全部完成し、詩文集の整理も最後の段階まで進んでいる。日本国内においては、東京・京都・大阪などの図書館・博物館で資料調査を行い、海外においては、中国国家図書館、北京大学図書館、上海図書館、復旦大学図書館などにおいて資料調査を行った。とくにコロナウイルスの影響により困難であった中国の図書館における資料調査の実施はできるようになったことは大きな進捗であった。また一部の資料を利用して研究論文を作成し、「邁宋書館銅版『西清古鑑』刊印始末考」(『印刷文化』2023年第4期、総第13期)などの成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度において、一次資料の翻刻整理を完成し、孫点の著作集を出版できるよう努力したい。孫点の日本滞在中の記録には、書画会参加のための地方への旅行のことなども記されており、また各地の文人との交流の記事も見られる。在地の知識人との関係を探るために、彼が訪れた地方への現地調査を行い、関係資料を収集、調査することを予定している。また計画中の中国各地での資料閲覧および現地調査を実施し、孫点日記および詩文集に書かれている記述の確認作業を行いたい。すでに本課題に関する新たな知見を学会において発表する予定があり、さらに発表内容を論文としてまとめて日本あるいは中国の学術雑誌に投稿したい。
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