研究課題/領域番号 |
22K00327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
伊藤 善隆 立正大学, 文学部, 教授 (30287940)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 俳諧 / 近世文学 / 月次句合 / 大名俳諧 / 蕉門俳諧 / 句碑 / 摺物 / 俳画 / 美濃派 / 雑俳 / 弘前俳壇 / 松木淡々 / 井原西鶴 / 天保期 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで研究の対象とされることの少なかった天保期の俳諧資料を調査し、長らく「低俗」と貶められてきた「天保俳諧」の再評価を行う。 正岡子規による近代俳句の価値観の影響により、従来の俳諧研究では、天保期の連句作品、また同時期の俳論や注釈書は、多く看過されてきた。それらを調査することで、「月並調」として排斥されてきた天保期の俳諧に検討を加え、天保俳諧の「大衆化」の実態を明らかにし、天保俳諧に〝達成〟を見出すことを目的とする。 すなわち、近代的な「文学」的価値観から否定されてきた天保俳諧を再評価し、その前後(化政期と幕末・明治期)及び俳諧史全体の見直しも視野に収めて研究を行う。
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研究実績の概要 |
双雀庵禾葉(寥松門)によって天保八年に刊行された『〔蕉門格外弁 変格證考〕』の翻刻作業を進めた。同書は、禾葉の師である八朶園寥松(天保三年没)が『蕉門格外弁』の考証の不備を指摘し、内容を増補したもの。『蕉門格外弁』(寛政二年)は、亭々坊車蓋が、師の闌更の校閲を得て出版したもので、両書を比較することで近世後期の俳人たちの芭蕉研究や連句研究の進展を具体的に辿ることができる。 また、月並句合資料として志村無倫撰『手鑑台』を調査し、口頭発表「無倫撰『手鑑台』と『蒲の穂』」にまとめ、論文「無倫撰『手鑑台』をめぐって―雑俳の褒美と絵俳書の意匠―」として発表した。また、その成果も含め、「江戸俳諧の愉しみ―「大衆化」の魅力―」と題した講演を行った。 さらに、文久三年刊「俳家俳優 索交評判記」に記載された宗匠について調査を進め、「文久三年刊「俳家俳優 索交評判記」をめぐって―旧稿「近世文学研究と歌舞伎」補説―」としてシンポジウムの口頭発表を行った。 他にも、これまで伝本が知られていなかった「東里編『はいかいみのむし 地』」、為楽庵雪川の自筆句文巻である「『〔為楽庵雪川句文集〕』の紹介」、大坂で活動した美濃派の桂影舎露葉が弟の蔦雨園左栗の寂照忌(十三回忌)追善集として出版した「桂影舎露葉編『蔦のあめ』」、月並句合資料として「無倫撰『手鑑台』」を翻刻・紹介することができた。 また、近世後期に多く建てられた芭蕉句碑に関する調査を進め、その成果を「土地にまつわる表象文化(江戸時代の芭蕉句碑の全国展開、俳諧史における芭蕉の顕彰(神格化)など)」「松尾芭蕉の作品世界と句碑(江東区内の芭蕉句碑)」として講座に取り入れた。 さらに、近世後期の芭蕉肖像画を多く展示した「江東区芭蕉記念館2023年度特別展「Basho Oh ! ばせを翁~芭蕉の肖像~」(江東区芭蕉記念館)の監修を務めるなどした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
俳人(宗匠)の伝記的事項や評判、あるいは筆跡や俳壇の構造が判明する俳諧資料の調査の成果として『蔦のあめ』、「俳家俳優 索交評判記」(一枚摺)、『〔為楽庵雪川句文集〕』、『手鑑台』の調査を進めることができた。 さらに、俳画の展示に関わったり、演劇と俳諧をテーマとしたシンポジウムに参加したりしたことで、美術史研究者からも知見をうかがうことができた。 すなわち、資料調査を進めることができ、さらに他領域の研究者の意見を知ることができたことから、おおむね順調に進展していると考えることができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後もこれまでと同様の方法・方針で研究を進める。現在調査中の資料や、未着手ながら調査可能な資料もいくつか把握しているため、これまでと同様の方法・方針で研究を進めることが可能であり、適切であると考えている。
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