研究課題/領域番号 |
22K00329
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
和田 道子 (小高道子) 中京大学, 文化科学研究所, 特任研究員 (70183126)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 古今伝受 / 近衞流 / 陽明文庫 / 近衞家 / 『古今和歌集』 / 師資相承 |
研究開始時の研究の概要 |
近衞家の古今伝受・連歌伝受について、自筆資料を検討することにより誤りを正し、実証的に明らかにすることが、本研究の主眼である。 信尹自筆の連歌伝受資料が信尹の死後に信尋に伝えられたように、より重要な秘伝である古今伝受についても、信尹は兼与を通さずに信尋に伝えたのではないかという着想である。これまでの調査では見出せていないが、信尹自筆の連歌資料の書入からは、信尹は古今伝受についても、信尋のために秘伝を書き記していると推定される。今ある資料を読み直すとともに、こうした現存すると推定できるものの見出せていない資料を探すことにより、近衞家の古今伝受の道統を明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
2023年度は、陽明文庫の資料閲覧を中心にして、近衞家の古今伝受について研究を進めた。近衞流の古今伝受については、これまで近衞尚通が大覚寺義俊に伝えた切紙など、細川幽斎が収集して智仁親王に伝えた資料をもとに研究されてきた。これらの資料は宮内庁書陵部に伝わり、『図書寮典籍解題』により位置づけられてきた。しかしながら、近衞流古今伝受の資料は、細川幽斎がたまたま入手した宮内庁書陵部蔵の資料のみならず、近衞家に伝わる資料を保存している陽明文庫に多く伝わる。近衞尚通の『古今和歌集』聞書を中心にして、これらの資料を閲覧し、近衞流の古今伝受について検討を加えた。 宗祇から近衞尚通への古今伝受について、これまでは『後法興院記』、宮内庁書陵部蔵古今伝授資料(細川幽斎が収集した資料)をもとにして、三条西実枝から細川幽斎への古今伝受と同様に行なわれたと推定されてきた。しかしながら古今伝受研究の進展により、古今伝受は師弟ごとに、それぞれ異なる方法で相伝されたことが明らかになっている。 これまで東常縁から宗祇に相伝された古今伝受の講釈は、東常縁の講釈を宗祇が聞書した『古今和歌集両度聞書』をもとに研究されてきた。宮内庁書陵部に伝わる近衞尚通自筆の『古今和歌集両度聞書』を智仁親王が書写した『古今和歌集両度聞書』は、東常縁の講釈を聴いた宗祇が、近衞尚通に講釈した際の聞書とされ、同書最善の写本として翻刻され、利用されてきた。だが、陽明文庫には宗祇が東常縁の講釈を聞書した聞書を近衞尚通が書写した写本が伝わる。この陽明文庫蔵の写本と宮内庁書陵部蔵の智仁親王書写本とを比較することにより、宮内庁書陵部蔵の聞書は、尚通が宗祇の講釈を聞書したのではなく、東常縁の講釈を宗祇が聞き書きした書を尚通が書写したものと推測できる。これらのことを3月24日に行なわれた陽明文庫古典資料研究会において口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
陽明文庫の資料を閲覧して近衞流の古今伝受について研究を続けているが、当初予想しなかった資料に気づき、それまでの仮説を作り直さないことがしばしばおきた。そのため、それまで予定していた資料が使えなくなり、新たな仮説のもとに1から資料を収集することになり、当初の予定よりも遅れている。 方針を変更して研究内容を見直しているため、1件口頭発表をしたのみで、本年度は雑誌論文を発表することができませんでした。
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今後の研究の推進方策 |
これまで収集した資料を一度総点検して、研究方法を新たに見直すことにより、近衞流古今伝受の前坊を明らかにして行きたい。
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