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学習雑誌・受験雑誌における「文学」コンテンツの機能に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00337
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02010:日本文学関連
研究機関実践女子大学 (2023)
千葉大学 (2022)

研究代表者

大原 祐治  実践女子大学, 文学部, 教授 (40554184)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード受験雑誌 / 読者投稿欄 / 秋山六郎兵衛 / 織田作之助 / 受験戦争 / 文学
研究開始時の研究の概要

メディアとしての特性上、年ごとに読み捨てにされる傾向の強い受験・教育雑誌に注目し、国立国会図書館、国立教育政策研究所教育図書館、大宅壮一文庫といった諸機関における所蔵状況を横断的に把握するとともに、図書館等に所蔵のない雑誌に関しても博捜・調査を行う。対象となる資料に関して一定の蓄積が構築されたのちは、誌面の構成および内容に関する調査・考察を行い、入学試験の実施者およびその受験に向けての準備を行う者それぞれにとって、「文学」というコンテンツがいかなるものとして存在したのか、ということについて検討するとともに、歴史的・社会的な状況の変遷と誌面構成の変遷との相関について検討を行う。

研究実績の概要

研究期間中の2年目となる今年度は、前年度に引き続き受験雑誌『考へ方』(考へ方研究社)および『蛍雪時代』(欧文社、のちに旺文社に社名変更)に関する調査を実施した。
『考へ方』に関しては、戦前期の調査を実施する中で学生時代の織田作之助が同誌の懸賞小説に応募し、選者である秋山六郎兵衛による選評の中で、作品タイトルおよび要旨について言及がなされていたのを発見した。これは、従来の研究において織田がいまだ小説の執筆を行っておらず、専ら戯曲に注力していたとれる時期に相当する。なお、研究史上、同時期の織田は親類の氏名を使って九州の新聞社(「福岡日日新聞」とされる)による受験体験記募集に投稿し、入選したとされてきた(詳細未詳)が、その際の選者も秋山六郎兵衛であるとされている。織田の文学的出発期において「受験」体験の文章化という契機があったことの意味については、さらに考察を深めたい。
『蛍雪時代』に関しては戦後(1940年代後半)の調査を行い、黒井千次が「長部春次郎」名義で発表した小説「歩道」が学生小説公募にて二等入選を果たしているほか、それに先だって詩の投稿欄でも入選第二席となっていることを確認した。同誌の投稿欄では、のちに「国鉄詩人」として活動することとなる森田茂治がくり返し詩を投稿していたことが確認されるほか、吉田熙生や塚本康彦、山折哲雄といった後年の研究者たちが学生時代に投稿をおこなっていたことも窺える。受験雑誌の文学関係欄が、文学創作および研究の道に進む人々の揺籃として機能していた様態については、引き続き調査を行う予定である。
なお、年度中にはプランゲ文庫(メリーランド大学)での調査も実施し、受験・教育関連の出版物を含む占領期の出版文化に関する知見を深めた。この調査の成果についても、随時公表していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国会図書館のデジタル化資料を有効活用し、調査対象を絞り込んだ上での作業を実施することで、一定の成果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

資料撮影のための環境が整ったことをふまえ、今後は資料の蒐集・調査と並行してデータ化と整理に関する作業も進めることとしたい。国立教育政策研究所教育図書館収蔵資料に関する調査についても、作業を加速させたいと考えている。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 〈資料紹介〉『東京週報』掲載 坂口安吾・矢田津世子関連資料三点2024

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 雑誌名

      実践国文学

      巻: 105 ページ: 33-50

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「玩鬼」の遺したもの―資料紹介・原田種夫『九州の玩具』2023

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 雑誌名

      敍説

      巻: Ⅳ(1) ページ: 174-201

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 解説 「事実」の向こう側を書く小説家(発掘 井伏鱒二「三十男Q・Dの告白」「小さな町」)2023

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 雑誌名

      新潮

      巻: 121(1) ページ: 207-209

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 笑劇としての探偵小説(発掘 坂口安吾「盗まれた一萬円」)2023

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 雑誌名

      新潮

      巻: 120-1 ページ: 169-172

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 安吾の新発掘小説と「東京週報」2023

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 雑誌名

      新潟日報

      巻: 1月19日朝刊 ページ: 21-21

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 茜ヶ久保奈美宛佐多稲子書簡および佐多稲子「友達への手紙」について2022

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 雑誌名

      日本近代文学

      巻: 106 ページ: 176-183

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 『東京週報』と文学者たち2023

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 学会等名
      雑誌文化研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 安吾と地理・歴史2023

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 学会等名
      新潟 安吾の会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 坂口安吾と公/私の境界線2023

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 学会等名
      日本近代文学東北インカレゼミ
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 占領期地方雑誌と女性―『吾嬬』を具体例として―(パネル発表「地方雑誌から考える―『占領期の地方総合文芸雑誌事典』を起点に―」)2022

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 学会等名
      日本近代文学会2022年度秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 戯作者の命脈 坂口安吾の文学精神2022

    • 著者名/発表者名
      大原祐治
    • 総ページ数
      392
    • 出版者
      春風社
    • ISBN
      486110811X
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 坂口安吾大事典2022

    • 著者名/発表者名
      安藤宏・大原祐治・十重田裕一(共編)
    • 総ページ数
      828
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      4585200797
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 占領期の地方総合文芸雑誌事典(上下巻・別冊)2022

    • 著者名/発表者名
      石川巧・大原祐治(共編)
    • 総ページ数
      562
    • 出版者
      金沢文圃閣
    • ISBN
      9784910363721
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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