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徳永直と橋本英吉の文献整備:労働者出身のプロレタリア作家の研究基盤構築へ向けて

研究課題

研究課題/領域番号 22K00338
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02010:日本文学関連
研究機関三重大学

研究代表者

和田 崇  三重大学, 教育学部, 准教授 (10759624)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード日本近代文学 / 作家研究 / デジタルアーカイブ / プロレタリア文学 / マルクス主義文学 / モダニズム文学 / ジャパノロジスト / 東ドイツ / プロレタリア / 社会主義 / 書誌 / 目録 / 労働
研究開始時の研究の概要

本研究課題では、プロレタリア作家の徳永直と橋本英吉の著作や参考文献を収集・整理してデジタル化を行い、Webで公開した後に共同研究を行う。徳永と橋本は、ともに労働者出身のプロレタリア作家であり、主に太平洋戦争前後に多くの著作を発表した。彼らは、戦前の新感覚派やプロレタリア文学、戦時中の転向文学や戦後の民主主義文学など、日本文学史上の特筆すべき文学事象に関与している。そのため、研究の成果として、両作家の著作物の全体像から労働者作家の特性を抽出し、新たに明らかとなる両作家と他の文学事象との関係を文学史上に意義づけることを目的とする。

研究実績の概要

本研究の2年目にあたる2023年度は、申請時に作成した「研究目的、研究など」に基づき、[1] 収集・スキャニングした文献のウェブサイトでの公開、[2] 公開資料に基づく共同研究への展開を目指し、また、2022年度の研究状況を踏まえ、[3] 徳永直作品の翻訳書誌に基づく社会主義文学の国際的受容研究への接続も目指した。
[1] について、ウェブサイト「日本プロレタリア文化アーカイブ」を作成し、ベータ版として著作権が消滅している徳永直作品の一部の公開を開始した。ただし、前年度に遺漏として補足した追加資料のデジタル化や、橋本英吉の作品の公開処理は済んでおらず、目標を達成できたとは言いがたい。
[1] の進捗状況と比例して [2] についてもあまり進展していない。ただし、当年度の9月に、「「転換」者たち―新感覚派からプロレタリア文学へ―」と題して、橋本英吉のモダニズム文学からマルクス主義文学への転換に関する研究成果をパネラーの一人として発表し、同じパネルで発表をした他分野の研究者と成果の交流を果たした。
[3] について、ジョージ・シポスとイリナ・ホルカが編纂する論集『Japan Behind the Iron Curtain』に、「Translations of Modern Japanese Literature in DDR (East Germany)」と題して、徳永直や小林多喜二の作品に始まる東ドイツにおける近代日本文学の翻訳の歴史に関する論文を寄稿した。同書は現在、イギリスのRoutledge出版社と出版交渉中である。
最後に、前年度の報告書で経過報告をした単著『徳永直の創作と理論』を当年度の8月に刊行した。これで、徳永直の著作目録が公にアップデートされたことになる。
以上のとおり、研究は遅れているが、その中でも次へのステップとなる研究実績を上げることはできた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当年度の研究は、プロレタリア文化研究のプラットフォームとなるウェブサイトを作成したものの、デジタル資料としては徳永直作品の一部の公開にとどまり、当初の計画を一部しか達成できていない。そのため、計画より「遅れている」を選択した。
研究どおりに進んでいる点と十分に進んでいない点の概要は、「研究実績の概要」に記載のとおりである。

今後の研究の推進方策

申請時の研究計画では、3年目は近代文学系の学会のパネル・ディスカッションで共同研究の成果を発表することを予定していたが、前年度に一部の成果についてはそれを達成することができたため、最終年度の目標としては、本科研の支援で収集・デジタル化した資料のウェブサイトにおける公開の完遂を最優先事項とする。
また、当初は、徳永直の著作は既存のウェブサイト「徳永直の会」で、橋本英吉の著作はウェブサイト「(仮)橋本英吉研究」を新設して公開することを企図していたが、報告者は2023年度にウェブサイト「日本プロレタリア文化アーカイブ」を作成し、プロレタリア文化に関するデジタルアーカイブのプラットフォームを構築した。「日本プロレタリア文化アーカイブ」は、本科研の成果公表の場として機能するだけでなく、他のプロレタリア文学(文化)研究者との間で企画に上がっている、プロレタリア文化の一次資料の発掘やプロレタリア文学事典の作成などの公表の受け皿としても機能する。そのため、これを起点として、デジタルアーカイブを活用したプロレタリア文化の共同研究への発展を目指したい。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 徳永直『妻よねむれ』の時空間 : 語りと回想/東京と登米2022

    • 著者名/発表者名
      和田崇
    • 雑誌名

      社会文学

      巻: 55 ページ: 33-47

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Anti-Bourgeois Media in the Japanese Proletarian Literary Movement2022

    • 著者名/発表者名
      Takashi Wada
    • 雑誌名

      Humanities

      巻: 11(6) 号: 6 ページ: 160-160

    • DOI

      10.3390/h11060160

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ドイツ分断期における日本の原爆文学アンソロジー ―Seit jenem Tag (1984)とAn jenem Tag (1985)―2023

    • 著者名/発表者名
      和田崇
    • 学会等名
      日本比較文学会 第85回全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「転換」者たちー新感覚派からプロレタリア文学へー2023

    • 著者名/発表者名
      和田崇
    • 学会等名
      世界文学・語圏横断ネットワーク 第16回研究集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 三重県のプロレタリア文学2023

    • 著者名/発表者名
      和田崇
    • 学会等名
      三重県歴史教育者協議会 三重県歴史教育者協議会総会 記念講演
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Translations of Japanese Leftist Literature in Early East Germany (DDR): Tokunaga Sunao, Kobayashi Takiji, Miyamoto Yuriko2022

    • 著者名/発表者名
      Takashi Wada
    • 学会等名
      JAPAN: Literary and cultural representations in communist Europe
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] 徳永直の創作と理論2023

    • 著者名/発表者名
      和田崇
    • 総ページ数
      440
    • 出版者
      論創社
    • ISBN
      9784846023010
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 日本プロレタリア文化アーカイブ

    • URL

      https://marxist-culture.org/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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