研究課題/領域番号 |
22K00349
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
高松 亮太 東洋大学, 文学部, 教授 (20634538)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 和学 / 国学 / 田安宗武 / 賀茂真淵 / 大塚孝綽 / 長野清良 / 上田秋成 / 石川淳 |
研究開始時の研究の概要 |
田安宗武は八代将軍徳川吉宗の次男にして、寛政の改革の主導者松平定信の父であり、和歌・古典研究・有職故実・楽曲・武芸など幅広い学識を持ち、多彩な活動を展開していた文化人である。こうした宗武やその学風を継いだ田安家の歴代当主、及びその文化圏に属する侍臣らの著作や書写資料・奥書資料・書入資料等の諸資料を丹念に調査・整理・分析し、彼らの伝記事項や諸活動の特色を明らかにする。そのうえで、宗武が俗文芸にも造詣が深かったことを踏まえ、既存の雅文化/俗文化の枠にとらわれず、田安文化圏の風土が後代にどのような影響を与えたのか考察し、田安文化圏を日本近世の文化史上に位置付けるための研究基盤を固めることを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度に引き続き、資料調査や複写、年譜作りなどを中心に研究を進めつつ、田安家関係とその周辺における著作の成立事情などに関する分析を進めた。具体的には、国文学研究資料館寄託の田藩文庫資料を軸に、田安家における宗武の遺著の編纂事業を中心とした侍臣たちの活動について、時系列を追う形で整理した。国文学資料館の新日本古典籍総合データベース(国書データベース)の恩恵に与り、画像を利用しつつ、必要に応じて原本調査を交えながら進め、所在が遠方の資料に関しては複写も行った。調査に訪れた機関は、賀茂真淵記念館や掛川市立大東図書館、国文学研究資料館、国立国会図書館などである。 特に本年度は、田安家における宗武の遺著編纂作業に関し、国文学研究資料館寄託の田藩文庫から見出せる諸資料と著作との関連について調査を進め、大塚孝綽や長野清良、狛諸成といった田安家家臣が宗武の随筆や考証などの遺著をどのように編纂したのかという、編纂過程の一端を浮かび上がらせた。また、宗武の学問が後代に与えた影響についても、著作間の学説の比較や随筆の諸本調査を行うことで、ある程度把握することができた。宗武の学問は江戸時代後期において、一定の広がりをみせていたことが想定されるため、この作業は来年度も継続して行い、より詳密な伝播状況や影響関係の把捉を行いたい。 なお、こうした本研究の成果の一部を、賀茂真淵記念館における公開講座(記念館アカデミー)「賀茂真淵の手紙を読むⅡ」で一般に広く公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はやや遅れ気味だったが、コロナ禍で行えていなかった資料調査ができるようになり、予定していた資料収集が順調に進んだため。また、資料の分析も順調に進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き伝記事項の入力作業を続けるとともに、より多くの所蔵機関への調査を重ね、複写や撮影を行ったうえで、以前に調査した関連資料や収集した資料の分析もあわせながら、田安宗武とその文化圏の活動の実態や、侍臣らの伝記的事実を明らかにしていく。さらに、内容の分析、学説の影響関係など、作品内部の分析も本格化させる。
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