研究課題/領域番号 |
22K00362
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
上田 望 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90293331)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 中国文学 / 俗文学 / 皮影戯 / 越劇 / 中国俗文学 / 地方劇 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国の俗文学(伝統演劇、講唱文学)に関する映像・写真・脚本の各種データを電子化し、同時に中国で調査・資料収集を進めて「金沢大学中国俗文学資料総合データベース」を拡充し国内外に情報発信することを目的とする。同時に横断検索機能を設け、伝統演劇、講唱文学の成立と展開、伝播について計量的な分析を可能にし、脚本の電子コーパス等を活用した中国俗文学の新しい研究モデルを作り上げる。4年間の具体的な目的および方法は、金沢大学が所蔵する中国演劇、講唱文学の各種資料について電子化と整理を進めていくともに、現地調査を通じて映像資料などを収集しデータが不十分なところを補完する。
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研究実績の概要 |
本研究課題「中国俗文学資料総合データベース拡充と電子コーパスを利用した新しい俗文学研究の試み」は、中国の俗文学(伝統演劇、講唱文学)に関する映像・写真・脚本の各種データを電子化し、同時に中国で調査・資料収集を進め、「金沢大学中国俗文学資料総合データベース」を拡充し国内外に情報発信することを目的とする。そしてこれを利用して中国各地に継承される多様な演劇、講唱文学の特徴、相互の関連性を電子コーパスとデータマイニングなどの統計処理で可能な限り数値化、可視化し、演劇、講唱文学のジャンルそのものの成り立ちや各演目の成立、展開と伝播、変遷の過程を包括的に分析、解明することを目指している。 初年度にあたる本年度は、研究統括者が所蔵する河北省承徳の皮影戯抄本「大金牌」「鎮冤塔」「聚虎山」「飛龍伝」「楊家将」「辞宋帰西」「落虎山」「飛虎夢」「万宝陣」「長寿山」「瓦剛塞(ママ)」「群羊夢」「長寿山」「桃花扇」「小英傑」などをスキャンして電子化し、画像の加工をおこない、「中国俗文学資料総合データベース」https://www.kanazawachineselit.com/のデータ拡充ができた。このほか浙江省の越劇脚本の電子データを多変量解析ができるように加工し、これらのデータを活用して、中国の越劇の成立と伝播に考察をおこない、公益法人東洋文庫東洋学講座通算第587回と『東洋学報』第104号で「中国研究において、現地調査から見えてくるもの―江蘇・浙江省の古典芸能空間―」としてその研究成果を報告、公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の初年度は、2023年1月の旧正月に中国江西省萍郷地区や南豊地区で儺戯・儺舞など仮面劇の現地調査をおこない、文献・映像資料を収集する計画であったが、新型コロナウィルスの影響で渡航を断念せざるを得なかった。甚だ遺憾ながらこの数年、中国での現地調査が全くできていない状況ではあるが、2023年度は感染症対策が変更、緩和される見通しであるため、2023年夏または2024年の旧正月に江西省又は安徽省での地方劇の現地調査を実施したいと考えている。 データ整理に関しては、現地調査で新しい中国俗文学の一次資料を入手することはできなかったが、研究統括者が所蔵する研究資料を活用し、河北省承徳の皮影戯抄本と浙江省越劇脚本について重点的にデータ整理などをおこなっており、計画通りに研究は進捗している。 データベースの拡充についても、上記のデータ整理を通じて得られたデータを「金沢大学中国俗文学資料総合データベース」に追加するとともに、これらのデータを活用して多変量解析をおこない、中国の越劇の成立と伝播に考察をおこない、「中国研究において、現地調査から見えてくるもの―江蘇・浙江省の古典芸能空間―」という研究成果を発表できている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、「金沢大学中国俗文学資料総合データベース」のいくつかの柱となる各種の中国演劇、芸能の文献、映像資料の整理を進め、データベースを拡充していく方針は変わらない。 資料収集に関しては、初年度は実施できなかった江西省又は安徽省での地方劇の現地調査を2023年夏または2024年の旧正月に敢行し、脚本などの文献資料や上演の映像資料を入手したい。 データ整理に関しては、当初の計画通り、河北承徳皮影戯唱本、貴州安順地戯脚本の文献資料について重点的に画像や文字情報の電子化を進める。 こうして得られた電子データはデータベースに随時追加していくとともに、これを活用して河北承徳皮影戯の研究「芸能にみる政治の記憶――李国祥と承徳皮影戯抄本」などを2023年度中に公刊する。
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