研究課題/領域番号 |
22K00363
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
遊佐 徹 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (60240157)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 明清通俗文学 / 倭寇小説 / 倭寇戯曲 / 日本イメージ / 日本人イメージ / 異文化交流 / 日中交流史 / 中国通俗文学 / 日本、日本人イメージ / 異文化交流、異文化理解 / 文化史研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、研究代表者が長年に渡り進めてきた倭寇が登場する文学作品に対する研究の発展形として構想された。明代以降盛んに生み出された通俗文学がどのように日本や日本人を描き、その中国におけるイメージの形成に影響を与えることになったのかについて全面的な調査とそれに基づき5つのテーマ、すなわち①「神仙・異域的イメージ」の継承と変遷、②「唐宋期の新古典的イメージ」の継承と変遷、③明清時期の日本、日本人に対するリアルイメージとバーチャルイメージ、④日本語への関心、⑤明清時代の日本、日本人イメージの近現代中国への継承と変遷、を中心に具体的研究を進める。
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研究実績の概要 |
本研究「明清時代の通俗小説における日本・日本人イメージの研究」(基盤研究(C)22K0036)は、2018年度に採択され、その後新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあって研究期間を2年間にわたって延長した「倭寇小説・倭寇戯曲の研究」(以下、前研究と呼ぶ)の発展形である。 前研究では主に倭寇を描いた戯曲作品の発掘、データ化とその特徴の分析、さらに個別作品に対する研究を進めた。その結果、前研究では予想外に多数の倭寇戯曲作品の存在をを見出すこととなり、大きな研究成果を上げることができた。その経験に基づき、本研究においては改めて倭寇小説作品のさらなる発掘を文言小説や清末小説にまでその範囲を広げて実施し、前研究の成果と合わせて十分な研究の素地を作り上げた上で申請書に記した研究計画に沿った研究に取り組むという方針を立てたため、2022年度の研究では、中国通俗小説の最も完備したリストのひとつである『中国通俗小説綜目提要』(中国文聯出版、1980年)に載るすべての作品に対して調査を行い、前研究では見落とされていた多数の倭寇小説作品を探し出すことができた。清末小説に関しては、調査継続中のため現時点では除くが、明清両朝における倭寇小説については27編を数えるに至った。もちろん、このなかには単なる時代背景の描出のために倭寇が動員されている例もあるが、本研究の立場からすればそれさえも貴重な資料とみなすことができるため、今後の本格的研究の進展を倭寇戯曲作品とともに支える成果を上げるに至った。 加えて、前研究の成果と本研究の成果のなかから、倭寇の領袖を女性(日本女王、倭婆……)とみなすパターンが明清通俗文学のなかに存在することを把握したことで、「卑弥呼の残像」とタイトルを付した論考を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の収集はおおむね順調に進んできた。ただし、清末小説に関しては、その数量んぽ厖大さとジャンルの多様さおよび所蔵状態、閲覧環境の制限等により、2023年度以降も継続的に資料収集の取り組む必要がある。 また、2022年度は、当初期待していたようには新型コロナウイルス感染症の拡大が終息せず、海外資料調査はおろか国内資料調査も基本的には実施不可能であった。このため、小説作品の図像資料や国内では閲覧不可能な地方戯曲作品にアプローチすることが出来なかったことが悔やまれる。
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今後の研究の推進方策 |
清末小説の残りと文言小説に関する資料収集を除くと、本格的研究を進める十分な基盤は整ったので、「卑弥呼の残像」と同様のかたちで研究トピックを複数設定し、逐次論考を執筆したい。 また、5月8日の新型コロナウイルス感染症が感染症法における5類へ移行を見込んで、海外資料調査の実施に向けて計画を立て、早期に実施したいと考えている。 加えて、学術交流も本来の姿に戻るであろうことが予想されるので、国内外の同様のテーマを研究している研究者等と交流を深め、研究の精度を高めたいと考えている。
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