研究課題/領域番号 |
22K00372
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
中塚 亮 公益財団法人東洋文庫, 図書部, 奨励研究員 (60839679)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 封神演義 / 図像資料 / 中国古典小説 / 中国古典芸能 / 年画 / 受容 / 図像 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では物語がどのように語られ、受容され、伝えられたかを図像資料に注目して、明らかにすることを試みる。 物語の受容・展開の状況を考察するとき、小説や芸能の脚本といった文字媒体でこぼれ落ちてしまう視覚的イメージを探る上では、挿図や年画といった図像資料が有効ではないかと考える。また、それらの図像資料には、文字資料では失伝してしまった物語の痕跡が残されている可能性もあるのではないだろうか。 本研究では『封神演義』を題材として、小説とそれを承けて創作された芸能、それらを具象化した図像資料を横断的に活用し、相互の継承関係を検討することを通して、物語の受容・展開を総体的に理解することを目指す。
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研究実績の概要 |
初年度(2022年度)は、当初予定の1「『封神演義』諸版本の挿図収集」・2「年画関係資料の調査、収集」・3「目録の作成」の進行のうち、2「年画関係資料の調査、収集」を中心的に進めた。 図録等年画関係資料や年画作品を購入・調査したほか、東京大学東洋文化研究所や東京都立中央図書館をはじめとする国内諸機関および台湾国家図書館・故宮博物院図書館を訪問し、『中国古版年画珍本』等の図録調査・複写を行った。これにより、既刊の年画関係資料のうち、当初よりリストアップしていた図録類についてはおおよそ複写・調査を完了した。調査済みの年画についてはいずれも3「目録の作成」のベースとなる図像目録に反映するとともに、デジタル化も済ませている。 また、台湾での資料調査時に、あわせて行天宮などの寺廟の壁画・装飾についても調査を行い、『封神演義』を題材とした作品を多数確認した。本研究で取り扱う挿図・年画は20世紀前半までの作品が中心である一方、台湾の寺廟壁画・装飾はそれよりも時代が下るものがほとんどであるため、両者をあわせて検討することでより『封神演義』の図像化の全体像を明らかにできると期待される。この台湾の寺廟壁画・装飾の資料としての有用性が確認されたことも初年度のひとつの成果といえる。 以上の初年度の調査によって、第二・第三年度に図像資料間および小説・演劇との継承関係を検討するための基礎的な準備ができた。 なお、1の版本調査については、以上の調査を優先したために、初年度は当初予定の訪問調査は保留し、調査済み版本の確認とオンライン公開されている版本の調査を中心に行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の基礎資料となる年画関係資料のうち、既刊の重要資料についてはおおよそ調査・収集が完了した。 また、現地調査では、現代の図像化を検討する上で寺廟の壁画・装飾が重要であることも確認された。これにより、今後の研究進行において挿図・年画資料を補完する手法が確立できた。 版本挿図の調査は保留状態にあるものの、主要版本はすでに調査済みであるため、研究上大きな遅延とはなっていない。 このため、研究課題全体としてはおおむね順調な進展と評価している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、基本的には当初研究計画に沿って、1版本挿図収集、2年画資料収集、3芸能脚本の調査、4目録の作成 という4点を柱として推進していくが、初年度の台湾調査にて寺廟の壁画・装飾も、『封神演義』の図像化を考察する上で有用な資料であることが確認されたため、今後は寺廟の壁画・装飾の調査もあわせて行う。 また、コロナ禍の状況が改善され海外への渡航調査も可能になりつつあるため、中国・台湾での資料調査、年画所蔵機関の訪問調査も実施したい。 当初予定通り、この第2年度(2023年度)に基本的な資料調査・収集を完了したいと考えている。
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