研究課題/領域番号 |
22K00386
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
島崎 里子 昭和女子大学, 文学研究科, 准教授 (90276618)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 古英語 / 聖人伝 / 女性像 / ジェンダー / 作者不詳 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、作者不詳の古英語聖人伝作品群を対象として扱い、古英語期の無名の散文作家たちの描く女性像を、ラテン語原典や時代の異なる他の古英語散文作家たちの場合と比較対照するものである。彼らの描く女性像の特徴を、語彙を中心とする言語と作品構成の両面からの詳細な分析を通して明らかにし、古英語期全体の女性像の受容と変容の系譜の中に位置づける。語学的アプローチの枠を越えて、作品の思想にまで踏み込み、当時の男性中心の英国キリスト教社会が、女性像というひとつの表象を通じて、ヨーロッパ大陸の文化をどのように受容し、独自に変容、発展させていったのかを、受容史やジェンダー論も踏まえた包括的な視点から解明する。
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研究実績の概要 |
二年目となる令和5年度は、古英語期の英国における作者不詳の聖人伝作品群について、関連資料を収集し、写本、既存の刊本(diplomatic editionの有無)、ラテン語原典に関する最新の情報等が盛り込んだカタログ・データベースの編集および作成を実施するなど、前年度から行ってきた課題研究の基盤整備を継続して行った。これは、女性聖人伝における古英語作家たちの女性性の扱い方に焦点を当て、ヨーロッパ大陸に由来する女性像が英国内でどのように受容され、独自の変容を遂げていったのかを、ジェンダー視点から分析するための基礎資料となるものである。 その作業と並行して、昨年度までに作成したデータベースを利用し、作者不詳の聖人伝の中から、特に女性聖人を扱った作品を抽出し(具体的には、Saint Mary of Egypt, Cotton MS Julius E. vii, ff. 122v-136r, British Library)、当該作品について原写本の現地調査を実施した上で、新たな電子テキストを編纂する作業にも着手した。 加えて、このテキスト編纂作業の過程で明らかとなった、既存のテキスト(Skeat, 1881-1900 および Magennis, 2002)との相違点や、それに対する修正提案等のリストを作成して、次年度以降の論文作成のための準備も進めている。 その一方で、昨年、大英図書館に対して行われた大規模サイバー攻撃の影響で、現在も関連資料の閲覧制限が続いていることから、当初に予定していた計画に遅れが生じる結果となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
海外図書館所蔵の原写本調査を受けて、電子テキストの編集作業に着手したが、昨年からの大規模サイバー攻撃の影響で、必要とする大英図書館のオンライン資料が閲覧できない状態が続いており、作業に大幅な遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、女性を題材とする作者不詳の聖人伝作品群の電子テキスト編纂作業を継続、完了させると共に、エルフリックや初期のアングロ・ラテン作家らのテクストとの比較作業にも着手する計画である。
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