研究課題/領域番号 |
22K00416
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉田 恭子 立命館大学, 文学部, 教授 (90338244)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | アメリカ文学 / アメリカ現代小説 / 90年代大衆文化 / 新誠実 / David Foster Wallace / メンタルヘルス / 現代小説 |
研究開始時の研究の概要 |
デイヴィッド・フォスター・ウォレスの長編小説には、薬物中毒を抱えていたり、鬱的症状を示していたり、心理的疎外感・強迫観念を抱えた人物が多く登場する。ところが、彼ら・彼女らの症状は治癒すべき異常として描かれず、小説の焦点となるのは、自我の中に閉じ込められた登場人物たちの当事者としての苦しみである。 本研究ではウォレスの長編小説、とりわけ "Infinite Jest" における「ことさらに強調された媒介性」が、いかにしてメンタルヘルスをめぐる当事者の内面を表象しようとするのか、精神分析学や情動理論も参考にしながら解読を試みる。
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研究実績の概要 |
2023年度は引き続き "Infinite Jest" 読書会をほぼ毎月のペースで継続して行い、2024年3月に研究会最終回を実施した。とりわけ90年代のポピュラーカルチャーやアメリカ文学の状況に照らし合わせながら本作を読むことで、本長編小説の幅広いテーマが浮上した。また、本作を読み解く際に主概念として頻用される「新誠実」についても、その定義や、ポストモダニズムとの継承・批判関係について他作品との関係性も含めて、考察を深めることができた。同時に、人種やジェンダーの面において今日本作家が各方面から厳しい批判を受けている点についても、その根拠がテクスト中に見出された。また、意図的なのか作品が膨大すぎて注意深い読者でさえ見過ごしてしまうのか、本作にはプロット上、表現上、言及上の謎も多く、研究者グループによる通読を目指した研究会では解明されない箇所もいまだ多くある。その内、ボストン都市圏の方言や独自表現についてはさらなる同定が必要だと感じた。中には答えは見つからずとも「謎」そのものの特定ができた箇所もあった。 読書会に参加した若手研究者は本作についての学会発表やエッセー・論文執筆の形で成果をまとめている。 International David Foster Wallace Society主催の翻訳パネルに出席し、本作の世界文学的側面や翻訳上の問題について知見を得ることができた。パネル出席をきっかけに今後の研究上の繋がりが形成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年次に研究会を終え、今後の研究者招聘や論文発表に向けて基礎的作業を終えた。
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今後の研究の推進方策 |
読書会の成果を下敷きに、同僚研究者の要望も反映しながら、適切なウォレス研究者を招聘する。また、世界各国の "Infinite Jest" 翻訳者との連携を通じて、今年度浮上した問題点について考察を続ける。若手研究者による研究発表・論文発表につながるサポートを行う。
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