研究課題/領域番号 |
22K00430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
外岡 尚美 青山学院大学, 文学部, 教授 (10227605)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | アフリカ系アメリカ演劇 / 歴史 / 記憶 / 情動 / Suzan-Lori Parks / 主体 / ネオリベラリズム / アメリカ演劇 / 身体 / エージェンシー |
研究開始時の研究の概要 |
1990年代以降のアメリカ演劇を代表する劇作家トニー・クシュナー(Tony Kushner, 1956- )、スーザン=ロリ・パークス(Suzan-Lori Parks, 1963- )およびラジヴ・ジョーゼフ(Rajiv Joseph, 1974- )の作品を対象に、(1)現代における〈主体〉の不可能性、(2)身体がそれに代わるエージェンシー(agency)としていかに表象のなかに立ち現れるか、そして(3)情動(affect)はそこでどのように作用するのかを明らかにする。アメリカの歴史と現在を再審し民主主義を再構想しようとする作品において、再構想の契機となり得る身体と情動の作用を解明する。
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研究実績の概要 |
2022年度はSuzan-Lori Parksの主要作品(Father Comes Home from the Wars [Parts 1,2 & 3], The America Play, Venus, Topdog/Underdog)について〈主体〉・身体・情動の視点から読み直しを進めた。 読み直しにあたっては、以下の3点に焦点を合わせた。第1に劇作家の歴史に対する関係およびテクストに描かれる〈主体〉と歴史・記憶の関係、第2に作品中のサブテクストとして書き込まれる経済(貨幣)と〈主体〉の位置および限定的agencyの問題、第3に作劇法と身体によって生ずる情動の作用である。これら3点の検討のためにアフリカ系アメリカ文学・芸術批評における奴隷制の歴史表象についての先行研究の調査・検討を行った。また情動の固着する対象としての〈自由〉とリベラルな理想の脆弱さについて、文学・文化批評における関連先行研究の調査・検討を行った。Parksの作品において〈自由〉や〈選択〉が極めて限定的であることについて確認できたが、同時に作劇法と身体によって生ずる情動の作用は多様なものと想定され、そこに一定のagencyを見出す可能性も検討された。 予定していたアーカイブ調査は、COVID感染状況を考慮して、延期とした。 2022年度調査の結果は、一部を2023年6月24日-25日に中京大学にて開催される黒人研究学会第69回年次大会で発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVIDによるアーカイヴ調査の延期による。文献調査はほぼ予定通り進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度前半は現在実施中のParksについての検討を続行し、後半以降Tony Kushnerについて検討を開始する。Kushnerについては、歴史と記憶についての先行研究の確認と同時に、90年代におけるAIDSをめぐる演劇・芸術と政治についての議論を調査・検討し、2000年代以降にそれらの議論がどのように振り返られているかを検討する。 アーカイブ調査はParksとKushnerについて、2023年度の終わりに行うことを予定している。
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