研究課題/領域番号 |
22K00431
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
浦野 郁 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (80612746)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 慈善 / チャリティ / フィランスロピ / E. M. フォースター / マリアン・ソーントン / 貧困 / 博愛主義 / Marianne Thornton / Howards End / イギリス文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、イギリス文学における慈善の描かれ方の変遷を考察するものである。慈善への熱意はイギリス文化の大きな特色の一つであり、歴史学・社会学的な見地からの研究書は多く見られるが、文学作品における語られ方に注目する研究はまだ始まったばかりである。本研究では、19世紀中葉から20世紀初頭にかけての作品に顕著に見られる慈善への眼差しの変化を、自由主義から福祉国家への転換、大英帝国の衰退、女性の社会進出などの背景と関連させながら読み解いていく。当時の人々が公/私の区分、多様な格差、貧困等について抱いていた意識の変遷を追うことで19世紀と20世紀の作品の新たな関係性をも浮き彫りにする。
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研究実績の概要 |
2023年度も文献の読解を中心に行った。特にPhilanthropy in British and American Fiction: Dickens, Hawthorne, Eliot and Howells(2007)のような、2000年代以降に出版された文献を読み、申請者が元々専門とする20世紀以前の英文学作品における慈善の描かれ方を把握することに注力した。
研究代表者が主宰する勉強会においては、2023年よりE. M. Forster, Marianne Thornton(1956)を継続して読んでいる。Forsterの小説作品においては慈善活動に対し批判的な姿勢がうかがえるが、大叔母の伝記である本作においては肯定的な姿勢も見られる。執筆年代や作品ジャンルの違いによってこのような差異が見られることが分かり、この点は引き続き掘り下げて考えたい。Forsterに関しては、20世紀初頭のイギリスにおける慈善や貧困についての考察を含むHowards End(1910)の訳出も続けており2024年夏~秋に出版予定。
また、研究開始当初はイギリス文学が慈善に対し批判的な目を向け始めるのは19世紀後半だと考えていたが、それよりも前に書かれたJane Austen, Emma(1815)等の作品を改めて精読してみると、主人公が慈善活動に取り組む様子を描く筆致にはすでに皮肉な眼差しが感じられ、研究開始時点での見解に修正を加える必要があることも分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
他の複数の出版企画に関わっており、文献読解などが予定通り進まなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きより多くの文献に当たると共に、研究成果を形にしていく必要性を感じている。当初の計画通りに進めることが難しかったため、今後は途中で研究休止期間を設ける、研究期間を延長することなども視野に入れ、最終的には5年間の交付期間に見合った成果をまとめたい。
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