研究課題/領域番号 |
22K00432
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
原田 範行 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90265778)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | イギリス文学 / アメリカ表象 / 大西洋往還 / 植民地 / アメリカ独立戦争 / 旅行記 / ゴシック・ノヴェル / センチメンタル・ノヴェル |
研究開始時の研究の概要 |
近代英文学において、「アメリカ」をめぐる表象は極めて重要である。植民地建設から独立に至る北米の動向や中南米を拠点とした三角貿易など、「アメリカ」は、当時のイギリスの政治・経済や外交を左右する存在であって、イギリスの各作家も、そうした現実を見据えていた。しかしながら、この「アメリカ」を意識した近代英文学研究は驚くほど少ない。本研究はこの欠を補うこと、すなわち、イギリスによるジェイムズタウン建設(1607年)から北米13州の独立(1776年)に至る時期に焦点を絞り、近代英文学における「アメリカ」表象を精緻に考察することで、有効な環大西洋的視点を実証的かつ体系的に構築するというものである。
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研究実績の概要 |
本研究1年目にあたる2022年度は、近代英文学における環大西洋的視点構築のための基盤となる記録(公文書や実録旅行記など)やフィクションの作品群を、18世紀前半から19世紀前半の約100年にわたって、300点ほど収集・整理し、本研究遂行のための基礎資料とした。この収集・整理の作業は、国内にあっては、主にEEBOやECCOなどの電子データベースを活用し、英国にあっては、大英図書館の所蔵資料を活用した。これに伴い、23年3月には、科研費による英国出張を実施した。収集・整理した300点の資料には一般的な公文書も含まれているが、定期刊行物の記事や論説、一般読者を想定した実録およびフィクションの旅行記、英米を舞台として往還する小説群、および英米を舞台とした韻文作品群が多くあり、これらの資料について、現在、それぞれの記述の具体的事情を詳細に調査しつつ、分析を進めているところである。18世紀後半から19世紀にかけての資料群には、いわゆるゴシック・ノヴェルやセンチメンタル・ノヴェルなど、従来からイギリスおよびアメリカ文学史で検討されてきた諸作品も含まれるが、それよりもはるかに多くの周縁化された作品群、つまり同時代読者を多く獲得しつつも、数年後にはほぼ看過されるようになったものがあり、分析の進捗により、既存の文学史的枠組みの再検討に重要な貢献ができるとの見通しを有するに至った。研究成果の一部は、すでに2022年度において論文等の形で公刊するに至っているが、主要部分については、予定通り、23年度以降の分析を経て発表することとしている。なお、22年度に収集・整理した資料は、主にイギリス側の資料に基づいていることから、23年度には、アメリカ側からの検証が求められよう。これらも含めて、23年度も予定通り、研究を遂行できるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記した通り、本研究1年目にあたる2022年度においては、研究計画をほぼ予定通り遂行することができた。航空運賃の高騰により、イギリスでの資料調査に伴う予定滞在日数を縮小するなどの対応を迫られたが、データベースを利用した分析(特に18世紀段階での大西洋往還にかかわる資料類を対象としたもの)をやや先行させる形で研究を遂行しており、23年度以降も、当初の研究計画を予定通り進めることが可能であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の遂行は、最終年度である2026年度まで、予定通り実施することができると考えられる。したがって、現在の段階では、特段の研究計画変更を想定してはいない。海外研究者を交えた国際シンポジウム開催にあたっても、目下のところ、大きな支障はないと考えている。なお、資料の収集と分析の進展に伴い、これを適切に、そして効果的に保存すること、また資料分析と検証の過程で海外研究者とのさらなる情報交換・研究交流の必要などが生じてくる可能性があるが、これらについては、研究計画の枠組みに大きな変更を加えることなく、利用可能なICTなどに習熟して適切に対応したい。
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