• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

19世紀アメリカ女性詩人の「自然」表象――「戦争」の時代の視座をめぐって

研究課題

研究課題/領域番号 22K00434
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02030:英文学および英語圏文学関連
研究機関東京理科大学

研究代表者

金澤 淳子  東京理科大学, 教養教育研究院葛飾キャンパス教養部, 准教授 (50287942)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
キーワードアメリカ女性詩人 / 19世紀アメリカ / 戦争 / 自然 / 声
研究開始時の研究の概要

本研究は、19世紀アメリカ南北戦争直前から戦後にかけてのアメリカ詩を対象とし、「自然」表象の特徴について、女性詩人エミリ・ディキンスンの詩を中心に明らかにすることを目的とする。英詩の系譜において「自然」は女性代名詞が付され、女性的な要素を担わされてきた。だが、19世紀南北戦争を経たアメリカ詩において、戦争で傷ついた人々を癒す「自然」(=女性)の存在はどこまで有効といえるのか。初の近代戦争を経た動乱の時代、詩における「自然」はどのような「視座」を反映することになったのか。この問題意識から、南北戦争直前から戦後における、アメリカ詩の「自然」表象を、女性詩人の詩を中心に検証することを研究目的とする。

研究実績の概要

本研究は、19世紀アメリカ南北戦争直前から戦後にかけてのアメリカ詩を対象とし、その「自然」表象の特徴について、女性詩人エミリ・ディキンスンの詩を中心に明らかにすることを目的とする。英詩の系譜において「自然」は女性代名詞が付され、女性的な要素を担わされてきた。だが、19世紀南北戦争を経たアメリカ詩において、戦争で傷ついた人々を癒す「自然」(=女性)の存在はどこまで有効といえるのか。初の近代戦争を経た動乱の時代、詩における「自然」はどの ような「視座」を反映することになったのか。抒情詩および環境批評からの先行研究では、戦争と「自然」表象との関係についていまだ十分な考察はなされていない。この問題意識から、南北戦争直前から戦後のアメリカ詩の「自然」表象を、女性詩人ディキンスンの詩を中心に検証することを本研究の目的とする。
そのうえで令和5年度に引き続き、令和6年においては、ディキンスンの「家事」の詩群を「自然」表象と結び付けながら分析を行ない、アメリカ、マサチューセッツ州アマスト大学にて開催のディキンスン国際学会にて口頭発表をし、さらにそれを発展させて、同時代のH. D. ソローと照合させた考察を口頭発表した。また、時代を横断した複層的な視点を保持するため、20世紀の女性詩人エリザベス・ビショップの詩において、冷戦を背景に自然表象を分析した論文「冷戦時代の「自然詩」――エリザベス・ビショップの"A Cold Spring" (1952)を読む」を令和5年度の口頭発表に加筆修正を加えて発表した。ビショップ論において、イギリス・ロマン派男性詩人たちにおける「癒し」の自然とはまた別の自然を考察したことになる。令和5年度の19世紀から21世紀への時代における自然表象と「声」を結び付けた考察に引き続き、女性詩人における「自然」表象の考察をさらに深めたものと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究における2023年度の成果として、19世紀の女性詩人エミリ・ディキンスンを中心とした「自然」の表象を「家事」と結び付けた国際学会での発表、および、20世紀 の女性詩人エリザベス・ビショップの作品を冷戦を視野にいれた分析を成果として発表することが幸い実行できた。そのためおおむね順調に進展しているものといえる。

今後の研究の推進方策

今後の研究推進方策として、令和七年度は、海外出張を実施し、マサチューセッツ州アマスト大学フロストライブラリー、ジョーンズライブラリーにおいて資料収集を行うと同時に、7月第4週にアマスト大学にて開催予定のEmily Dickinson International Society Annual Meetingに出席して海外の研究者たちとの情報交換を行う。また、同学会において2024年4月にハーバード大学出版局から出たディキンスンの新書簡集の編者Cristanne Miller教授の講演、アマスト近隣の植物に詳しい講師の講演を受講することで最新のディキンスン研究の知見を深めたい。
また、詩の「自然」表象を分析するうえで、伝統的な「抒情詩」の枠を考察する必要があるため、19世紀のディキンスンおよび、20世紀女性詩人エリザベス・ビショップにおける、それぞれの伝統的な抒情詩の継承とそこから逸脱した展開方法を、「自然」表象において分析するところまでを行う。それにより、アメリカ女性詩人の「自然」表象の系譜を理解するうえで、常に複層的な視野を確保しながら行う方針である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 関東支部 目次2023

    • 著者名/発表者名
      金澤淳子
    • 雑誌名

      英文学研究 支部統合号

      巻: 16 号: 0 ページ: 73-73

    • DOI

      10.20759/elsjregional.16.0_73

    • ISSN
      1883-7115, 2424-2446
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] "Eloquent, Deliberate Silence――グリュックとディキンスンにおける植物の「視座」2023

    • 著者名/発表者名
      金澤淳子
    • 雑誌名

      The Emily Dickinson Review

      巻: 10 ページ: 1-11

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Emily Dickinson and the Poetics of Household Items2023

    • 著者名/発表者名
      金澤淳子
    • 学会等名
      Emily Dickinson International Society Critical Institute and Annual Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 「種蒔き、針仕事、詩作――エミリ・ディキンスンの「家事」の詩における共感」2023

    • 著者名/発表者名
      金澤淳子
    • 学会等名
      日本ソロー学会2023年度全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「冷戦と自然――エリザベス・ビショップのA Cold Springを読む」2023

    • 著者名/発表者名
      金澤淳子
    • 学会等名
      日本アメリカ文学会東京支部例会詩部門
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] シンポジアム「Louise Gluckを代表三詩集から眺める――The Wild Iris (1992)、Vita Nova (1999) and Averno (2006)」          "Eloquent, Deliberate Silence――グリュックとディキンスンと植物の「視座」2022

    • 著者名/発表者名
      金澤淳子 (他の登壇者:江田孝臣  梶原照子)
    • 学会等名
      日本エミリィ・ディキンスン学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『自然・風土・環境の英米文学』2022

    • 著者名/発表者名
      金澤淳子(第19章分担執筆)
    • 総ページ数
      464
    • 出版者
      金星堂
    • ISBN
      9784764712164
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi