研究課題/領域番号 |
22K00440
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
高橋 美帆 関西大学, 文学部, 教授 (70342532)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 英国女性作家 / グランドツアー / フィレンツェ / 英国女性文学 / 移動・移住 / イタリア / リソルジメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、18世紀末から19世紀後半にかけ、イタリアへの「移動・移住」を経験した英国女性作家たちに着目し、その文学活動を「移動」という点から掘り下げる。イタリアに埋もれている一次資料を参照しながら、「移動・移住」をテーマとした作品群を通史的に概観し、英国女性作家の旺盛な執筆活動の背後にあるイタリアの文化的・社会的影響を読み直し、その文学・文化的傾向を新たに解釈する。
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研究実績の概要 |
研究全体としては、18世紀後半から19世紀にかけての英国女性作家とその作品群を読み直す過程において、ヨーロッパの革命運動やイタリアの統一運動などの政治運動が、当時の女性たちが作家として生きていくために関わった社会活動と結びついていたことや、その結びつきが女性作家としてのアイデンティティの確立の問題と関わっていることに着目した。また、19世紀の英国女性文学作品群が、英国本国のみならず当時のイタリアでいかに受容されていたのかを考察するために、イタリア語で書かれた書籍や論文を点検して、資料の掘り起こしに努めた。 2022年度にはイタリアと英国での資料収集を予定していた。しかし、欧州の政情不安や新型コロナの問題が続いており、円滑な渡航が困難であったため国内に留まって、グランドツアー期の女性作家関連の資料収集と、ヴィクトリア朝文学・文化関連書籍の補充に従事した。そして、オンラインによるシンポジウムを開催して、フィレンツェ大学、ローマ・サピエンツァ大学、ヴェネツィア・カフォスカリ大学の研究者たちと研究発表や情報交換をして交流を深めた。フィレンツェの英国研究所は新型コロナ蔓延以降、オンラインによる資料提供を試みるようになり、まずは提供された資料に目を通すことから始めて、国内で得られる情報の整理に努めた。 また今回の研究は、イタリアと英国女性作家たちに研究対象を絞っているものの、将来は引き続いて、日本の女性作家たちにまつわる「移動・移住」をテーマとし、新たに比較文学・比較文化的な見地からこの研究を発展させたいと思っている。そのため、渡航が困難であった事情もあり、日本の女性作家の資料にも目を通した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
欧州の政情不安や新型コロナの問題が続いているうえ、渡航費も高騰しており、円滑な渡航が困難であったため国内に留まって、必要な古書や不足資料の収集に努めた。しかし、長年利用していた書店が急に6月に倒産して、依頼していた注文がキャンセルされた。アマゾンなどのサービスも利用してみたが、古書の入手には限界があり、新たに探し出した国内の書店に、同様の注文をかけた。そもそも時間がかかるうえに、貨物の事故で本の破損や遅延が起きたため、現物が届いたのは年度末近くになった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に入手した資料の読み直しを引き続きおこなう。その過程において、ヨーロッパの革命運動やイタリアの統一運動などの政治運動と当時の女性たちが作家として生きていくために関わった社会活動との結びつきに重点を置いて、資料を読み直す。また、その結びつきが女性作家としてのアイデンティティの確立の問題と関わっていることを取り上げる。そして、19世紀の英国女性文学作品群が、当時の英国とイタリアで受容されていた状況を考察する。 一次資料に関する情報収集については、渡航は可能になったものの渡航費が高騰しているため、研究計画では2回に分けて考えていた海外での調査の時期や期間を見直している。資料収集についても、新型コロナ蔓延以降、オンラインを活用できる場面が増えてきたので、国内で入手する方法を再検討している。得られる新情報をもとに、当時の女性文学作品群への新たな評価を提供していきたい。
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