研究課題/領域番号 |
22K00441
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
赤井 朋子 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (70309433)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | イギリス演劇 / シンガポールの英語演劇 / アマチュア劇団 / 客間劇 |
研究開始時の研究の概要 |
世紀転換期~20世期前半にロンドンのウェスト・エンドにおいて多く上演された客間喜劇と呼ばれるジャンルの演劇は、イギリスの劇団による世界巡業や、旧植民地での英語教育、あるいは、訪英した外国人による観劇や翻訳・翻案等を通して、国境を越え、形を変えて世界各地で上演された。本研究課題は、イギリスのそういった演劇が非西洋文化圏において、どのように模倣され現地の文化に適合して行ったのか、そしてそれぞれの国のアイデンティティ構築にどのように関連していたのかについて、調査・研究することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題の2年目である2023年度は、1年目にコロナ禍の影響により実施できなかったことを中心に研究を進めた。 まず、1年目の研究成果を海外の学会で発表した。具体的には、シンガポールで最初に英語で書かれた演劇と言われる『ミミ・ファン』(1962年)と、この作品が上演された劇場であるカルチュラル・センター(現在のドラマ・センター)との関係についてまとめ、口頭発表を行なった。 次に、1年目にコロナ禍の影響で見送ることになったシンガポールへの出張を実施し、資料調査を行なった。上記の研究発表の際に孫引きすることしかできなかった資料の原典にあたったり、現存しない劇場の建築物としての特徴を伝える資料を閲覧したり、オンラインではアクセスできなかった新聞記事をマイクロフィルムで読み進めたりすることにより、1年目に実現できなかった調査の多くを実施することができた。そして、上記の口頭発表の内容に今回の資料調査により得られた情報を追加して、最終的に論文を完成させたが、この論文は2024年度内に著書(共著)の形で発表する予定である。 また、現地での資料調査の際には、シンガポールの英語演劇との関係において重要と思われる、現地イギリス人アマチュア劇団に関するエフェメラ資料(上演プログラムや写真など)の閲覧・収集もいくらか行った。1960年前後のごく限られた時期に関する調査ではあったが、地元アジア系アマチュア劇団との接点という点で示唆的な情報をいくらか得ることができたので、有意義な出張であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも記したとおり、研究成果を海外の学会で発表することができた。また、現地での資料調査を行うことにより、1年目に入手できなかった資料を収集し、論文を完成させることができた。さらには現地在住イギリス人アマチュア演劇クラブに関する資料調査にも着手することができた。 3年間の研究プロジェクトのうち、コロナ禍の影響を大きく受けたのが1年目だけであったのは幸運であった。また、本研究課題の開始後は、個人的に勤務先での状況が何かと厳しく、科研費課題のエフォートも確保できるか不安に思うこともあったが、結果的には無事に本研究課題を継続できたことに感謝している。
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今後の研究の推進方策 |
シンガポール独立前の1960年代前半におけるアマチュア演劇クラブ(特にステージ・クラブ)の活動とその周辺についてさらに調査する。このアマチュア演劇クラブは現地在住イギリス人による劇団で、イギリスの客間喜劇やコミック・オペラなどのジャンルを多く上演し人気を博していた。2024年度は、1960年代前半におけるこのような演劇クラブとアジア系アマチュア演劇クラブとの接点について、さらなる調査を続ける予定である。 また、英語の演劇が地元住民によって書かれるようになったことと、独立後の言語教育政策との間に何らかの関係があると思われるので、そのことも含めて当時のシンガポールにおける英語演劇創作の意味を論文にまとめる予定である。
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