研究課題/領域番号 |
22K00442
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 九州女子大学 |
研究代表者 |
中島 久代 九州女子大学, 人間科学部, 教授 (90227778)
|
研究分担者 |
陣内 敦 長崎短期大学, その他部局等, 教授(移行) (60270120)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | 伝承バラッド / バラッド詩 / 挿絵 / 挿絵の黄金時代 / 挿絵付きバラッド編纂集 / 挿絵画家 / バラッドの挿絵 / バラッド編纂集 / 19世紀の書籍購買者 |
研究開始時の研究の概要 |
18世紀後半から19世紀にかけて最盛期を迎えたバラッドのテクストと、同じ時期に黄金期にあった挿絵が、この時代に刊行されたバラッド編纂集でコラボレーションされたという事実に基づいて、(1) 挿絵画家のバラッドの物語の場面選択の特色や傾向、(2) 挿絵製作の背景としての社会的芸術的要因、(3) 読者・購買者の反応、(4) バラッドの文化の展開における挿絵とテクストのコラボレーションの意義を考察し、「バラッド詩の系譜」の確立の美術分野からの影響を解明する。
|
研究実績の概要 |
18世紀後半から19世紀にかけてバラッド詩の創作は作品数からも模倣の多様性からも最盛期であ理、またこの時代は挿絵芸術も黄金期を迎えており、2つの芸術領域はバラッド編纂・出版者によってコラボレーションされ、多くの挿絵入りの豪華なバラッド編纂集が刊行された。この事実に基づき(1)画家はバラッドの物語のどの場面を抽出しているのか、場面の選択には理由や傾向が見出せるか、(2)多くの画家たちがバラッドの挿絵に関わった社会的芸術的要因があるのか、(3)購読者・読者は挿絵をどのように理解していたか、(4)テクストと挿絵のコラボレーションはどのような意義を持つのか、の4つの視点から、バラッドの挿絵とテクストのコラボレーションの諸相とその意義を考察することが本研究の目的である。 2023年度は、研究代表者中島は2022年度に作成した「バラッド詩・翻訳・挿絵データ20220506」をベースとして、作品中で挿絵として抽出された場面の調査を継続した。また、イギリスの挿絵文化に関する研究書等から、イギリスの挿絵は伝統的に「挿絵自体が物語を語る役割を持っていると認識されてきた」という芸術鑑賞の傾向を掴んだ。挿絵自体の物語を語る役割がバラッド編纂集にも見られる場合、そのことは何を意味しているのか、テクストと挿絵の関係性をどのように理解することができるか、さらに論考を進める足掛かりができた。 研究分担者陣内は、2022年度から行なっている挿絵技法の時代による変遷の研究を継続した。また、F. J. Child編纂の伝承バラッド詩305篇に基づいて創作した319篇の挿絵は、従来、陣内の個展会場等で展示を試みてきたが、日本バラッド協会第15(2024)回会合において、12の挿絵作品を選定し、中島が音声による解説と場面の朗読をつけて、展示を行った。参加者からは挿絵の意義を再考するきっかけとなったとの声が寄せられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023(令和5)年の研究計画の話し合いにおいて、研究代表者と研究分担者は主として次の4つの内容をそれぞれ遂行することとした。 (1)代表者は、日本バラッド協会HP掲載332点の挿絵画家と背景に関わる資料より挿絵が物語テクストのどの場面をピックアップしているのか、それらのピックアップに共通性・相関性が見られるのかの考察を継続する。(2)代表者は、イギリスの挿絵の物語性等に関する先行研究から、バラッドの挿絵の役割の考察を深める。(3)分担者は、挿絵技術の変遷をまとめ、挿絵の黄金時代にバラッドの挿絵に用いられた技術に特色が見られるのかについて文献調査を継続する。(4)分担者は、挿絵の物語性について自作品で読者・鑑賞者の反応を確かめるために、伝承バラッドの挿絵の展示を試みる。 これらについて、(1)、(2)、(3)は遂行途中である。(4)については共同で展示の試みを行った。そのため、やや遅れている状態と判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
2024(令和6)年度の研究計画の話し合いにおいて、「現在までの進捗状況」に記した2023(令和5)年度研究の方向性の4つの内容を継続することとした。 (1)代表者は、日本バラッド協会HP掲載332点の挿絵画家と背景に関わる資料より挿絵が物語テクストのどの場面をピックアップしているのか、それらのピックアップに共通性・相関性が見られるのかの考察を継続する。(2)代表者は、イギリスの挿絵の物語性等に関する先行研究から、バラッドの挿絵の役割の考察を深める。(3)分担者は、挿絵技術の変遷をまとめ、挿絵の黄金時代にバラッドの挿絵に用いられた技術に特色が見られるのかについて文献調査を継続する。(4)分担者は、挿絵の物語性について自作品で読者・鑑賞者の反応を確かめるために、伝承バラッドの挿絵の展示を試みる。 特に(4)については、代表者と分担者で協力して、展示機会を増やしていくこととした。
|