研究課題/領域番号 |
22K00450
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
野呂 康 岡山大学, 教育推進機構, 准教授 (70468817)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | パスカル / プロヴァンシアル書簡 / 論争 / 作家性 / ジャンセニスム / プロヴァンシアル / 文学研究 / 作家像 |
研究開始時の研究の概要 |
パスカルが執筆協力をした『プロヴァンシアル書簡』を現代の文学研究に照らし、その射程を測る。成立経緯の特異なこの作品について、専門研究を実施した後に、さらに作家像が形成される要因を探り、特定の作品に代表作としての価値が付与される仕組みをも合わせて明らかにする。その過程で、時代による評価(価値)の変遷についても考察することになろう。われわれの見立てでは、19世紀後半のフランス社会において、作家をめぐる価値の転換が生じた。これは奇しくも作家とその思想の解明を目指した文学研究の黎明期でもあった。文学作品の価値と文学研究上の価値を峻別し、文学研究と作家像の形成の間にある相関性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題の初年度にあたる今年度は予定通りパスカルと『プロヴァンシアル書簡』の関係性について検討し,数回の発表を行うことにより学会での周知に努めた.また,日本とフランスの研究者を集めて研究会を組織し,定期的な研究交流に努めた.会合はオンラインを利用し,フランス語と日本語の両方で行われた. 具体的な成果としては,以下が挙げられる. 1)「『プロヴァンシアル書簡』の作家とは誰か?」:「先行研究の批判的考察」(発表);2)「テクストの価値,パスカルの価値」(研究会発表);3)「『プロヴァンシアル書簡』の作者は誰か?-パスカルと『プロヴァンシアル書簡』」(日本フランス語フランス文学会2022年秋季大会における学会発表);4)「パスカルと『プロヴァンシアル書簡』 語り手としての単一の「私」」(日本フランス語フランス文学会中国・四国支部大会における学会発表);5)「Y a-t-il les libraires-imprimeurs < janseniste >」(研究会発表);6)「文学の領分 -文学は何を伝えるのか」岡山大学ヨーロッパ言語文化研究会『ヨーロッパ言語文化研究』(研究会紀要);7)「『プロヴァンシアル書簡』の作者は誰か? パスカルと『プロヴァンシアル書簡』」(日本フランス語フランス文学会編『フランス語フランス文学研究』に掲載予定);8)「パスカルと『プロヴァンシアル書簡』(2) 語り手としての単一の「私」」(日本フランス語フランス文学会・中国・四国支部『フランス文学』に掲載予定);9)「Faut-il se demander le vrai auteur des Provinciales ?」Lettres a Pascal, Paris, Thierry Marchaise(印刷中).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年にあたる今年度は,論争研究の視点から『プロヴァンシアル書簡』の成立基盤を考察し,明らかにすることと目的としていた.具体的には,1)『プロヴァンシアル書簡』の「作者」について研究を進めた.作家パスカルの作品とする伝統的な捉え方に対し,歴史的・テクスト的な視点から異議を唱え,論争文書としての性質とテクスト特性を踏まえる議論の必要性を唱えた.2)作品成立の社会的基盤となる出版とメディアの視点から,『プロヴァンシアル書簡』の社会的インパクトについて歴史的考察を加えた.具体的な成果については,「研究実績の概要」にて報告する.
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今後の研究の推進方策 |
これまでは『プロヴァンシアル書簡』の制作上,そして出版上の特徴について考察してきたため,本課題研究の2年目には,『プロヴァンシアル書簡』の歴史的側面についてまとめることを予定している.とりわけ,論争文書としての性質を踏まえ,順次繰り出される文書(パンフレ)の成立ともくろみを整理するだけでなく,パンフレから書籍に形式の移行が見られた後の受容様態についても考察対象とする.また,次年度に予定している「価値」についても,文献の整理と理論形成に着手したい.
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