研究課題/領域番号 |
22K00453
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
小松原 由理 上智大学, 文学部, 准教授 (70521904)
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研究分担者 |
西岡 あかね (秋元あかね) 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30552335)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | キャバレー / カフェ文化 / ジェンダー / 大衆芸術 / 大衆文化 / カバレット / キャバレー芸術 / 身体 |
研究開始時の研究の概要 |
・本研究は、20世紀初頭におけるドイツ語圏カバレットの黎明期から、第一次世界大戦を経て、20年代の政治的カバレットの隆盛に至るまでの、いわゆる初期カバレット時代に特徴な総合的芸術空間の諸相を分析の対象とする。 ・娯楽か政治かの二極性のなかで繁栄を見た20年代のカバレットとは異なり、初期カバレットは、芸術が持つ社会批判性の追求と、芸術表現のマルチメディア化への要求の中で、政治、娯楽、芸術の関係が総合的に議論される可能性に満ちた場所であった。 ・そこで本研究では、初期カバレットを作品研究を超え、新たな文化創生へと向かう運動とみなし、その成立過程とメディア的特質、さらにジェンダーの問題に着目する。
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研究実績の概要 |
研究初年度である本年度は資料の精査を特に集中して行った。研究開始時には、むしろ芸術キャバレーのみをその対象にし、とくにヨーロッパにおいて同時代的に拡散した芸術の大衆による享受の観点を中心に据え、その新たな文化生成の中でジェンダーがどのような役割を果たしていたのかといった点を調査することを念頭に置いていたが、特にドイツ語圏におけるキャバレーの誕生を考えるうえで強い要素となる社会風刺の場としての役割は、すでにフランス語圏やヨーロッパのその他の地域ともずれが見られることが明らかとなった。さらに、日本におけるキャバレーの同時代的な受容も検討すると、そこにはカフェ文化へと結びつく流れと、もう一つ、ドイツ語圏に特徴的に見られる社会風刺の場としてのキャバレーは、小劇場へと結びつく流れの中に見られることがわかった。 このように、基礎資料により、そもそもキャバレーという言葉そのものが持つ文化間の差異に焦点をあてることで、キャバレーという場所が各文化において果たしていた役割の共通性と個別性について、しっかりと議論していく必要性を認識するに至ったことが本年度の最大の成果であると言える。この点を受け、ヨーロッパのキャバレー芸術を専門とする研究者と日本のキャバレー文化およびカフェ文化を社会学的なアプローチで研究している専門家との意見交換を行う機会を設けた。この機会は来年度以降さらにシンポジウムなどにおいて社会的な発信へとつなげる準備を進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度においては、海外の資料取集を念頭に置いていたものの、代表者も分担者も共にそれを実現することができなかった。一方で研究対象自体の越境性への認識が強まり、他領域の研究者との交流の中でアイデアが広がるという機会に恵まれた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、人間社会がいかに生の身体性を求めながらその文化創生を行ってきたのかという点を、文化横断的な地平で解き明かすことを目指している。今後も他領域の研究者と意見交換をしながら、キャバレー芸術を多角的に捉える研究を進めていく。
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