研究課題/領域番号 |
22K00476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
千川 哲生 立命館大学, 文学部, 准教授 (50587251)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | イエズス会 / 学校演劇 / 対話 / 演劇 / 写本 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、主にスペイン、イタリア、フランスのイエズス会中等教育機関が成立した16世紀半ばから17世紀にかけて、学校間のネットワークを通して演劇が普及し、テクスト、上演形態に関して共通項の多い学校演劇が形成されるに至った過程を解明することである。 対話劇や道徳劇を対象として、写本と上演記録の比較照合を通してテクストの模倣と変容の実態を解明しながら、演劇の伝播した道筋を再構成する。さらに、テクストの変容がそれぞれの地域や国の俗語演劇の傾向と観客の趣味、要望を反映した結果であることを示す。
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研究実績の概要 |
今年度は16世紀から17世紀イエズス会のヨーロッパ(フランス、ポルトガル、スペイン、イタリア)の各学校において上演された演劇、対話に関する研究を行った。各国の学校で上演された劇や対話の台本に着目し、ローマ、マドリードの国立図書館および大学図書館に所蔵されている写本を調査、比較し、上演記録と照らし合わせることで、上演の実態、共通するテーマ、写本の流通と変容について解明を試みた。スペイン、そしてポルトガル(コインブラ)の学校で上演された対話がローマ学院でどのように受容されるに至ったかを研究した。以上を通して、イエズス会の学校教育が16世紀後半にヨーロッパ各地で普及していく過程において、全体として様式が統一され共通の特徴を有する一方で、個々の地域や学校に応じた多様性を保持していたことを明らかにした。また、17世紀前半に活躍したフランスのイエズス会士ニコラ・コーサンが、ラ・フレーシュ学院で執筆、上演した戯曲を題材とし、エンブレム芸術と演劇の関係に関する論文を発表した。コーサンの悲劇作品における比喩的なイメージの源泉が、彼自身が手掛けたエンブレム・ブックからの借用であること、それが悲劇作品の比喩的な解釈とどのようにつながっているのかを論じた。それにより、学校教育においてエンブレムと演劇が教育課程において関連づけられ、特定のイメージから複数の解釈を導き出す練習として用いられていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの感染収束に伴い、現地調査が可能になったので、マドリードやローマの資料館に収蔵されている資料を現地で閲覧、調査している。また、可能な場合は複写を申請して調査を続けている。したがって大きな遅れはないが、収集した資料の分類・読解に予想したよりも時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
収集した資料のデータベース化を引き続き進めていく。写本の研究の進展に応じて、リスボンやマドリードの資料館での現地調査を実施する。
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