研究課題/領域番号 |
22K00478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
加藤 健司 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (10577076)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | パラテクストとしての訳註 / 二元的翻訳論 / 古典作家の翻訳 / 翻訳者としてのヴィーラント / 文学一般 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ギリシャ・ローマの古典作家からシェイクスピアまで翻訳したドイツ作家クリストフ・マルティン・ヴィーラント(1733-1813)が、18世紀啓蒙主義的翻訳と19世紀翻訳理論が説明する翻訳とを結び付ける接続者的翻訳者であるとの仮説に基づき、ヴィーラントが古典からシェイクスピア翻訳に至るまで例外なく豊富に付した脚注のパラテクスト性を主たる手がかりとして、ヨーロッパ翻訳史におけるヴィーラントの意味を、その翻訳作品、翻訳へのアプローチについて同時代の翻訳者たちとの相違から検証するとともに、翻訳と創作家の文体に関わる疑問の解決を目指すものである。
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研究実績の概要 |
前年度の翻訳理論の整理に続き、本年度はまずヴィーラント訳シェイクスピアの『マクベス』とビュルガー訳『マクベス』さらにシュレーゲル/ティーク訳とを比較することによって、ビュルガー訳が上演を前提とした翻訳である一方、散文訳とされたヴィーラント訳は上演を前提とせず「読むための」シェイクスピアであること、シュレーゲル/ティーク版ではその作品としての理解の困難さをあげながらもやはり上演されるべく、簡潔な韻文訳を目指していることを指摘したのちに、ヴィーラント訳の特徴からパラテクストとしての訳註への手がかりを示すことができている。これについては次年度に論文発表予定である。また本年度はさらに、ヴィーラント訳ルキアノスの『人間嫌いティモン』、ボイアルドの翻案的作品『ティモーネ』、ヴィーラント訳シェイクスピア『アテナイのタイモン』、シュレーゲル/ティーク訳シェイクスピア『アテナイのタイモン』を特にその文体と脚注に注目しながら比較検証をはじめた。ルキアノス翻訳においてはルキアノスの文体や背景となるパックス・ロマーナ後半の時代にかかる脚注を多く付しているヴィーラントであるが、シェイクスピア戯曲翻訳における脚注がそれとは異なるのであれば、なぜか。60を数える脚注が付されたヴィーラント訳『人間嫌いティモン』の脚注の饒舌性と、ボイアルド『ティモーネ』の遊戯性にスポットを当てて検証する一方で、ルキアノスを下敷きとしたシェイクスピアの翻訳の、ヴィーラントとシュレーゲル/ティークのアプローチの相違を踏まえて、本研究全体が目指す、シュライアマッハーやフンボルト、あるいはヘルダーリンに代表される19世紀前半の翻訳への接続者としてのヴィーラントの翻訳の特性の分析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は極度の円安のため、基金の有効利用を目指して海外から新規の資料を購入することを控え、既存の資料の整理と論文発表に向けた準備とが主となった。第1には、ヴィーラント訳ルキアノス『人間嫌い』の訳註をLoeb版を参照しながら精査し、訳註のパラテクスト性にかかる理論の端緒を得ながら、ルキアノスの翻案であるボイアルドの作品の特質を検証して、さらには、シェイクスピア『マクベス』のヴィーラント訳、ヴュルガー訳、シュレーゲル/ティーク訳を比較検証を行いヴィーラントの翻訳と訳註の独自性に焦点をあてた。前者と後者にかかる本成果については2024年度じゅうにふたつの論文として発表予定である。また、シュレーゲルを中心としたイェナのロマン派について、ラクー=ラバルト/ナンシー『文学的絶対 ドイツ・ロマン主義の文学理論』(共訳)を上梓したが、今後の本研究にも大きく関わるヴィーラント以降のロマン主義における翻訳理論について自身の知見を高めるとともにそれを本邦に紹介できている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はヴィーラントのルキアノス訳、ホラティウス訳、シェイクスピア訳の検証を続けながら、より創作的なヴィーラントの『ジニスタン』所収の翻訳についても、創作との接点として古典作家訳やシェイクスピア訳との相違を明らかにする。管見によれば『ジニスタン』を手がかりに翻訳と創作の文体について論じた先行研究はなく、なんらかの成果を期待できると考える。
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