研究課題/領域番号 |
22K00492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
美留町 義雄 大東文化大学, 文学部, 教授 (40317649)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 森鴎外 / ライプツィヒ / 独逸婦人協会 / ザクセン / シュニッツラー / ルイーゼ・オットー / ドレスデン / 文づかひ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ザクセン地方における森鴎外の留学体験を主題とする。当地に滞在していた時期の鴎外は、富裕な文化都市ライプツィヒで私的生活を享受し、さらに首府ドレスデンでは、国王に招かれて絢爛たる王宮を訪れ、ヨーロッパの君主制末期の貴族文化に触れていた。 本研究は、ドイツの歴史・芸術・社会に関する日本では未紹介の独語文献を調査し、『独逸日記』や回想録に記された鴎外の体験を、ザクセンという当時まだ王国として存在していた伝統的な場の中で検証する試みである。くわえて、『文づかひ』等の初期小説を対象にして、実体験との相関関係を分析すると同時に、彼のテクストを、19世紀末ドイツの歴史的文脈の中で読み直して行く。
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研究実績の概要 |
【論文】森鴎外記念館が発行している専門誌『鴎外』に、論文「森鴎外とライプツィヒの女性たち -『独逸婦人会』との関連で」が掲載された。(第113号2023年7月) 本論では、鴎外が、ドイツの女性運動団体「婦人協会」の総会に参加していた事実に注目し、彼を誘った重要人物、フォーゲル夫人とその娘アンナについて、新資料をもとに紹介した。特に、この二人と婦人協会の会長ルイーゼ・オットーとの親族関係が、鴎外研究において初めて明らかにされた。 さらに、鴎外が参加した婦人会の総会についても、当時の議事録をもとに、女医や看護婦という女性の新しい職業が取り上げられていたことを確認し、軍医制度を学ぶ鴎外が医学的立場からも女性運動について考えていた可能性を論及した。 【講演】福岡ユネスコ文化講演会にて、「森鴎外とドイツ文学」という講演を行った。(2023年11月25日 於北九州市立文学館) 本講演では、ドイツ文学の翻訳者としての森鴎外に注目し、特に、彼が個人的に関心を寄せていたアルトゥール・シュニッツラーとの関わりにおいて論じた。両者ともに同年齢であり、家業が医師であったことを踏まえ、鴎外の翻訳と創作の中に、ウィーン世紀末の雰囲気、医師としての影響を論じた。 また、島根県立石見美術館主催イベント「森鴎外のクリスマス」に登壇し、『舞姫』のテクストの解説を行うとともに、森家で祝われたクリスマスについて論じ、その由来をザクセン留学時代の体験において論述した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の論文「森鴎外とライプツィヒの女性たち -『独逸婦人会』との関連で」において、新資料に基づいて、ライプツィヒ滞在時の森鴎外の交友関係、特に、当地の女性運動家たちとの関わりと影響を論じることができた。 また、同じく上記の講演「森鴎外とドイツ文学」では、鴎外の翻訳のスタイルにまで言及し、「文化の翻訳」(長島要一)を目指した鴎外の言語感覚の一端に触れることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、ライプツィヒから場所を移して、ドレスデン滞在時の森鴎外について研究する予定である。特に、彼が出入りを許されたザクセンの宮廷に焦点を当て、彼が面会した貴人たち、宮中舞踏会の様子、ツヴィンガー宮殿の光景など、実証的に調査を進めたい。
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