研究課題/領域番号 |
22K00494
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
安元 隆子 日本大学, 国際関係学部, 研究員 (40249272)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | アイヌ / 違星北斗 / 森竹竹市 / 川越宗一 / 鶴田知也 / コシャマイン記 / コタンの口笛 / 森と湖のまつり / アイヌ文学 / ロシア文学 / アポリジニ文学 / ネイティブアメリカン文学 |
研究開始時の研究の概要 |
明治時代に日本の同化政策により民族存亡の危機に瀕したアイヌ民族を取り上げ、これまで文学の中にどのようにアイヌが描かれてきたのかを検証する。 その際、アイヌ人の文学だけでなく、日本人が描いたアイヌの文学を含め、近・現代を通して文学におけるアイヌ像の変容を追い、「滅亡の民」から最近の「生のエネルギーに満ち自然と共に生きるたくましい民族」へのイメージ転換の契機と理由を、漫画、映像作品も含めて考察する。 また、日本に隣接するロシアの文学の中のアイヌ表象や、米・豪の文学に著された先住民族との対立、反省、和解、共生への道程と日本の場合とを比較し、文学の立場から真の多民族共生への道を模索する。
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研究実績の概要 |
今年度は、アイヌ人と日本人の描いた文学に現れたアイヌ像について研究した。 特に注力したのは鶴田智也の『コシャマイン記』研究である。まず、史実と虚構の部分を明らかに区別した。そして、この小説の持つ、日本帝国主義に対する批判を明らかにした。児童向けの文章に鶴田の本音が隠されていると考え、アイヌの敗北の要素は日本にとっても同様に重要であると指摘している部分に着目し、確かな指導者の欠落が大事を招くという日本への警鐘を読み取った。そして、日本人のアイヌ搾取と虐待について、作品発表の10年ほど前に実際にあった新潟のダム建設に伴う朝鮮人労働者の虐殺死を告げる新聞報道と『コシャマイン記』末尾の表現の酷似を指摘した。 このほか、違星北斗と森竹竹市の詩歌を中心に、その民族観や「血」を巡る意識を明らかにした。共にアイヌの現状を憂いながらも「混血」を巡る意識は相反している。このような意識の諸相について、世界の先住民族の意識の諸相と比較しながら考察した。また、違星北斗についてはこれまであまり言及されてこなかった国柱会との関わりが、彼の精神形成に大きな役割を果たしていると考えられ、その実態について今後調査する予定である。そして、川越宗一の『熱源』とブロニスワフ・ピウスツキの実人生とを比較検討すべく、基礎的な伝記と小説とを比較した。 映画作品としては『コタンの口笛』『森と湖のまつり』を検証した。『コタンの口笛』の末尾部分はアイヌと日本人の関係性について大きな問題性を孕んでいることを指摘すべく、今後論文にする予定である。漫画作品については『ハルコロ』『ゴールデンカムイ』を中心に比較検討した。『ハルコロ』について、新たなアイヌ像の提示を評価しつつその限界性を明らかにした。『ゴールデンカムイ』は、アイヌ像の斬新さを指摘することができたが、全体については様々な歴史的事象が背景にあるため、引き続き研究を続ける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は日本語によるアイヌ表象を研究する予定であったが、小説、詩歌、映画、漫画における予定していた主要作品について、ほぼ計画通りに分析、研究を進めることが出来たため。今後はこれらの研究成果を論文にして発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度後半はロシアにおけるアイヌ表象の研究を行う予定であったが、現在、ロシアのウクライナ侵攻によりサハリンへの渡航ができず、文献収集や現地視察が難しいため、研究の順番を変えて、オーストラリア、または、アメリカの先住民族の現状視察と文学研究を先に行うことを検討している。 状況が悪化し、ロシア関係のアイヌを描いた文学が研究できない場合は、台湾の先住民族文学に変更する可能性がある。
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