研究課題/領域番号 |
22K00508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小薬 哲哉 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (40736493)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | Nヲシテイル / 軽動詞構文 / 動詞派生名詞 / X-ぶり/Xっぷり / V方 / V a look構文 / 日本語文法 / V方ヲスル構文 / X-ブリ/ップリ / 構文文法 / 軽動詞 / 形態論 / 構文論 / 動詞由来名詞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、動詞由来名詞+スル構文のうち、V方ヲスル構文(例:美しい走り方をする)、V{ップリ/ブリ}ヲシテイル構文(いい飲みっぷりをしている)、Vヲスル構文(変な動きをする)を中心に考察し、構文論・語彙意味論の観点から分析を行う。これにより、日本語軽動詞構文の文法的実態を解明するとともに、自然言語において語内部の構成的情報が文の構成や解釈にどのように反映されるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、「V方」「X-ぶり/-っぷり」や連用形転換名詞がヲ格名詞として生起する「Nヲスル構文」を扱った研究を複数の論文にまとめた。特に「X-ぶり/-っぷり」に関しては、前年度の学会発表を論文の形にまとめた。また、事象タイプと属性タイプのNヲスル構文の語彙意味論的な分析を行った論文が、書籍『構文形式と語彙情報』(開拓社)に掲載された。このうち、属性タイプに関する研究をさらに発展させ、「青い目をしている」構文一般の詳細な考察を現在論文の形にまとめている。また、関連する内容をKansai Linguistic Society 第49回大会(6/8)のワークショップで発表することも決まっている。 一方、当初の予定から計画を変更し、英語の軽動詞構文に関する記述的・理論的研究を行った。これは、事象名詞a lookを目的語としてとりうる動詞をコーパス調査から考察・分析したもの。日本語に関するこれまでの名詞中心の研究方略とは対照的に、目的語名詞を限定し、それに合致する動詞を探索するという動詞中心のアプローチを採用した。これは、特定の動詞と共起する名詞を考察していた従来のアプローチと差別化をはかるためであった。 結果、複数の興味深い成果が上がり、一つは既にTsukuba English Studies 42号に査読付き論文として掲載、出版されており、もう一つも、理論的分析を論文として出版する方向で準備を進めている。さらに、2024年8月26-28日にスウェーデンで開催される、第13回国際構文文法学会で、両者の成果を発展させた内容を口頭発表することも決まっている。 関連して、Dercy Sperlich氏との共同研究も、国際ジャーナルであるLinguisticsへの論文掲載という成果に結びついた。この研究でのコーパス調査の方略が、現在の本プロジェクトに活かされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「V方」「X-ぶり/-っぷり」や連用形転換名詞など、様々な派生名詞を扱った研究を2本の論文にでき、またワークショップでの口頭発表1本の成果にもつながっている。加えて、研究テーマを当初の計画から変更したものの、2024年度予定のテーマを前倒しして実施した英語の軽動詞構文に関する研究も、準備中のものを含め論文2本、また国際学会での発表1本へと繋がっており、当初の計画よりもかなり進展した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の前半は、属性解釈のNヲシテイル構文に関する6月のKLSワークショップ、および英語のV a look構文に関する8月の国際学会ICCG13での発表に向けて準備を進める。年度の後半は、当初の予定であった連用形転換名詞、および「V方」「X-ぶり/-っぷり」や「V様」「V具合」との比較も含めた、日本語の軽動詞構文全般に関する研究を進め、書籍として出版する方向で準備を進める。
同時に、次期研究プロジェクトとして、日英語の対照研究を見据え、名詞中心の考察だけでなく、日本語でも動詞中心の考察を行う予定である。これに伴い、理論的研究ではあまり注目されていたなかった村木(1991)による「機能動詞論」など、日本語学における研究成果、および類型論的な研究とも接続させ、軽動詞研究全体に対して新たな視点を提案するプロジェクトへ発展させることを目標とする。
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