研究課題/領域番号 |
22K00517
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
上田 裕 大東文化大学, 外国語学部, 講師 (00733619)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 移動表現 / 変化表現 / 主観 / 認識 / 主体移動表現 / 認識的変化表現 / 文末助詞“了” / -(a/e) cita / 中韓対照 |
研究開始時の研究の概要 |
「陸が近づいてきた」のような主体移動表現や「(成長にともない)制服が小さくなってきた」のような認識的変化表現ついては、日本語学において主に認知的な観点から多くの研究がなされてきた。中国語学と韓国語学では、話し手が認識上で主観的にとらえた移動や変化を表すこの種の表現について、十分な研究がおこなわれておらず、その成立条件は明らかにされていない。本研究は、「変化」を表す中国語の文末助詞“了”や韓国語の終結語尾「-(a/e) cita(~くなる)」等を用いた表現を取り上げ、日本語との対照を通して、中韓両言語の主体移動表現と認識的変化表現の成立条件を明らかにする。
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研究実績の概要 |
日本語では、「(船に乗っていて)陸が近づいてきた。」のような、人が認識上で主観的に把握した移動様態を叙述する表現が成立するが、中国語では「#陸地接近了。(陸が近づいた。)」のような表現は成立しないことが指摘されている。本研究では、(1b)の最後の文や(2b)のように、中国語でも主観的な把握に基づく移動様態表現が使用されることを示した。 (1)a.席に帰ってみると、彼女は目覚めていて、窓の外の風景をぼんやりと眺めていた。窓の外には水田が広がっていた。時折サイロの姿も見えた。川が近づき、そして去って行った。(村上春樹『羊をめぐる冒険』)b.返回座位,[女也]已醒来,正茫然望着窓外風景。窓外是舒展的水田,時而也可見到円筒形粮蔵。河漸漸靠近,又遠離開去。(村上春樹著、林少華訳《尋羊冒険記》)(1b)の最後の文には、原文の(1a)にない「漸漸(次第に)」が加えられており、こうした副詞が中国語の主観的移動様態表現の成立に関わっていると考えられる。次の(2b)では、原文の(2a)にない「越来越(ますます)」が加えられており、これが主観的移動様態表現を成立させていると思われる。 (2)a.それから町が遠ざかり、山のかたちが不確かになり、(村上春樹『スプートニクの恋人』)b.継而,鎮越来越遠,山形越来越朦朧。(村上春樹著、林少華訳《斯普特尼克恋人》) これらの例では、「漸漸」と「越来越」を省略できないことから、中国語の主観的移動様態表現においては、漸次性を表す表現が重要な役割を果たしていると考えられる。当初の予測に反し、エフォートを十分に割けなくなり、本研究課題は中途で廃止せざるを得なくなった。そのため、計画段階で考察する予定であった他の点については検討することができなかった。
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