研究課題/領域番号 |
22K00520
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小椋 秀樹 立命館大学, 文学部, 教授 (00321547)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 漢語 / 近代語 / 語彙 / コーパス |
研究開始時の研究の概要 |
明治初期には、西洋の学問、文化等を移入するに当たって多くの翻訳語が作られた。それら翻訳語の多くは漢語であったため、明治初期には漢語が増加し、「漢語流行期」と呼ばれるような様相を呈した。漢語が増加していく中で、例えば字音接頭辞「非・未」、字音接尾辞「化・性・的」が造語力を増していったといわれている。しかし従来の研究では、これら特定の字音接辞が取り上げられるだけであり、近代においてどのような字音接辞が現れ、どのように用いられていたのかについては、明らかにされていない。 そこで、『日本語歴史コーパス 明治・大正編I雑誌』を資料として、近代の字音接辞を網羅的に収集し、その使用実態を把握する。
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研究実績の概要 |
(1)「近代字音接頭辞用例データベース」の構築作業:本研究で使用する基礎データを構築するため、引き続き「近代字音接頭辞用例データベース」の構築作業を進めた。このデータベースは、『日本語歴史コーパス 明治・大正編I雑誌』に収録されている『国民之友』『太陽』から字音接頭辞を抽出したものである。2022年度の誤解析除去作業、結合対象・結合対象の品詞の情報付与作業を受け、長単位情報、結合形の用法に関する情報の付与を行った。これにより、必要な情報の付与は完了した。 また、字音接尾辞についても、『日本語歴史コーパス 明治・大正編I雑誌』に収録されている『国民之友』『太陽』から抽出作業を行い、一部、誤解析の除去作業に着手している。 (2) 予備的分析の実施:本研究では、データベース構築後に分析を行うこととしており、その際の観点について引き続き検討を行った。2022年度に、否定の字音接頭辞「非-」「不-」「未-」「無-」の明治期から平成期(1997年)までの変遷について調査したのを受け、2023年度には、調査期間を2013年までに延ばし、調査を行った。調査期間を延ばしたのは、国立国語研究所から『昭和・平成書き言葉コーパス』が公開されたことによる。この結果については、2024年度に論文として公表する予定である。 なお、これら一連の予備的分析の結果、各接頭辞の変遷を明らかにするに当たって、各接頭辞と結合対象とが結合した語(結合形)の度数、用例の見られる年数という観点が有効であるということが明らかとなった。また、字音接頭辞によっては、初出年について『日本語歴史コーパス』を用いて近世以前の用例の有無を確認する必要のあることも分かった。今後、字音接尾辞についても同様の手法を用いて、予備的な分析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度において、『日本語歴史コーパス 明治・大正編I雑誌』の非コア(人手修正を行っていないデータ)を検索対象に含めたことにより、誤解析の除去に予定より多くの時間を割いた。その結果、作業の進行に若干の遅れが生じたことにより、字音接頭辞のデータベース作成に、2023年度末まで要した。
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今後の研究の推進方策 |
字音接頭辞については、データベースの作成が完了したことから、2023年度中に字音接尾辞についてもデータベースの作成を完了することができる見通しである。なお、そのために、既に2022年度において、調査対象を『国民之友』(1887年、1888年)、『太陽』(1895年、1901年、1909年、1917年、1925年)に縮小することとしている。
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