研究課題/領域番号 |
22K00527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井土 愼二 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80419233)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 訳詞長短話 / ペルシア語 / ピジン / 長崎 / 通事 / 譯詞長短話 |
研究開始時の研究の概要 |
江戸時代の長崎には通訳等を職務とした役人が存在した。この役人たちの一人が著した『訳詞長短話』という5巻から成る語句集がある。『訳詞長短話』への語句の採録が特に多い言語に「モウル語」(先行研究における通称)がある。この「モウル語」はペルシア語であると1986年に主張されたが、「モウル語」とペルシア語との関連に就いての議論はその後立ち消えになっている。上述の背景を踏まえて、本研究は: 1.「モウル語」の特徴を記述し、それらの特徴がピジン一般に認められるものかを明らかにする。 2.「モウル語」とペルシア語との対照を通して、ペルシア語の様々な変種がモウル語と共有する(またはしない)諸特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
京都大学図書館に収蔵されている『訳詞長短話』のうち、「モウル語」のみを扱う巻である第5巻から、その大部分が漢(字)語からなる数百の見出し語及びそれらの「モウル語」対訳部分を抽出し、後者については仮名文字への翻字も行い、電子的に扱えるようにした。 3月には長崎歴史文化博物館に出張し、同館が収蔵する『訳詞長短話』の複写を行った。長崎県立大学佐世保校の図書館にも『訳詞長短話』が所蔵されていることがOPACから判明したので、そちらにも出張し、当該の資料の調査も行ったところ、長崎歴史文化博物館版と京都大学図書館版の複写からなることが判明した。今後は長崎歴史文化博物館版と京都大学図書館版との間の異同の調査及び日本語部分の電子データ化を行う予定である。 長崎出張では現地の方言資料を渉猟した結果、『訳詞長短話』に記載の日本語に、現在の長崎市域では行われているとの記述が見当たらない長崎県北部の特徴がみられることに気付いた。近世の長崎方言や現代の長崎県の諸方言についてはまだ資料が足りていないので、再度の出張を期したい。 京都大学図書館版に基づいて「モウル語」についてこれまでに分かった範囲のことを論文にした。その論文はSpringer社から出版予定のペルシア語方言学の論集に投稿済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までは、今後の分析に供するために、『訳詞長短話』中の「モウル語」関連部分(ほとんどが五巻に集中)と、そこに現れる漢(字)語部分を電子的に扱えるデータにすることに注力してきた。一方では現時点で論文として提示できる限りの内容は論文としたうえで投稿ずみである。本研究の主題である、「ピジンとしてのモウル語」の記述や分析にはまだたどり着いていないが、今年度中の後半には取り掛かれると予想している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の前半は『訳詞長短話』中の日「モウル語」に関する部分に現れる日本語部分を電子的に扱えるデータにすることと、長崎歴史文化博物館版と京都大学図書館版との間の異同を調べる作業に費やされると予想する。また、「モウル語」中のペルシア語から提供されたものではない語彙の提供元言語の探索も行う。そのうえで、今年度の後半からは、ピジンとしての「モウル語」の特徴の抽出とその分析にとりかかる予定である。
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