研究課題/領域番号 |
22K00532
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
高橋 英也 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90312636)
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研究分担者 |
佐々 智将 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10711989)
江村 健介 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60757128)
中嶌 崇 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80288456)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 母音融合 / 動詞活用論 / 使役SASE / 受動RARE / 方言文法 / エ足す言葉 / プロソディ構造 / 東北方言 / ヴォイス / 形態統語論 / 形態音韻論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東北方言のヴォイスにおける動詞述語の形成について、理論的・実証的な見地から検討し、方言多様性を保証し共通日本語との差異をもたらす文法的要因を明らかにする。特に、形態統語論と形態音韻論のインターフェイスを念頭に、理論研究 (A) (B)の実施から得られる予測の妥当性を、課題 (C) (D) における方言話者の言語知識の獲得と定着に関する調査により実証的に検証する。 (A) 東北方言の自発・可能・受動形式の形態統語論 (B) 自他交替における動詞語根の形態的拡張過程 (C) 可能動詞化の方言多様性と受動文の獲得 (D) 可能動詞化における形態・統語と音声・音韻のインターフェイス
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研究実績の概要 |
当該研究は4つの個別研究課題((A) 東北方言の自発・可能・受動形式の形態統語論、(B) 自他交替における動詞語根の形態的拡張過程、(C) 可能動詞化の方言多様性と受動文の獲得に関する実証研究、(D) 可能動詞化における形態・統語と音声・音韻のインターフェイス)を統合することで実施されている。以下、各課題の実施概要を手短に述べる。 まず(A)および(B)については、SASE使役に対する形態統語分析を論文にまとめたものを海外の学術誌に投稿した。また、動詞の自他交替について、大野(1957, 1978)などで提唱された母音/e/に対する合成母音説を形態統語的に再定式化することにより、動詞自他の交替現象の解明に繋げるべく考察を進めた。次に、(C)については、主に「岩手県沿岸方言のプロソディ構造解明」に資する音声データの収集と解析を実施した。特に、岩手県沿岸方言における高トーンの出現に注目し、脚の存在を示唆できるデータが存在するかどうか調査を実施した。調査およびデータ解析の結果、①岩手県宮古市方言における「エ足す言葉」による可能形式(例「読めエル/yom-e-e-ru/)の母音/e-e/部分に高トーンが観察されること、②当該の高トーンは語幹部分の高トーンよりも高くなる、ことが明らかになった。最後に、実証研究である課題(D)では、新型コロナ感染症の影響等のため、引き続き対面での実証的調査は実施が概して困難であったことから、令和3年度の12月に岩手県沿岸地域に在住の成人21名をインフォーマントとして実施した「エ足す言葉」の容認性に関する質問紙調査の結果分析を進めた。その結果として、エ足すと同様に母音eの多重生起による「ラ抜き言葉」による可能形式(例:曲げレル/mag-e-re-ru/)の場合と同様に、自他交替における形態的示唆性がエ足す言葉の形成に関わっていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個別課題(A)(B)(C)においては、論文投稿や学会発表を含む成果発表を含めて、当初の計画通りに研究が遂行されたものと評価できる。唯一、課題(D)については、引き続いてのコロナ感染症の影響等により、日本語児を被験者とした実験・調査に基づく実証研究の実施を令和5年度以降に見送る判断をせざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度も各研究者が引き続き4つの個別課題を独立して実施しつつ、令和6年度以降の研究期間後半に予定している全体的統合に向けた視点を持ち、研究チーム内での頻繁な意見交換、並びに国内外での成果発表を通した他の研究者との連携も積極的に行うこととする。
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