研究課題/領域番号 |
22K00550
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小熊 猛 金沢大学, 外国語教育系, 教授 (60311015)
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研究分担者 |
金 智賢 宮崎大学, 国際連携機構, 教授 (40612388)
井筒 勝信 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70322865)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 二人称自称 / 人称指示 / 発話参与者 / 独白 / 自己分離 / 概念化者 / 概念対象 / 分離 / 二人称自称指示 / 人称指示形式 / ダイクシス / 発話事象概念 |
研究開始時の研究の概要 |
英語ならびに韓国語では、話し手が自らを叱責あるいは鼓舞するような独り言において、 You can do it! のような二人称による話し手自称指示が可能である。しかし、日本語では「おまえ[あんた]ならできる」のように話し手自身を二人称で指すことは難しい。独白文脈で、話し手が自らを「語る自分」(概念化者)と「語られる自分」(概念化対象)に分離し、後者を聞き手に見立てる概念化が英語では慣習化しているが、日本語では一般的ではなく、韓国語は英語寄りの振る舞いを示す。こうした英韓日語の人称表現の異同を、三言語の空間指示表現が示す特徴と対照し、これらの言語的振る舞いが根ざす発話事象概念の認知様式の異同を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、話し手及び聞き手の人称指示形式の包括的対照研究によって、発話参与者指示の本質に迫ることを目的としている。令和5年度はこれまで調査してきたsel-blame及びself-encouragementの独白文脈における二人称自称指示に加えて、命令形発話(self-commandと呼べる発話)における呼格による発話者自称に注目して研究を進めた。日本語はself-blame,self-encouragement、self-commandのいずれにおいても一人称自称(first-person self-reference)を徹底して好むという調査結果を得た。一方で英語では自己を聞き手に見立てた二人称自称(second-person self-reference)が広く用いれることが明らかになった。さらに、日韓英語以外の8言語を調査した結果、self-blameではに二人称自称を許す一方でself-encouragementでは許さない言語が確認され、その逆にself-encouragementで二人称自称を許すがself-blameでは許さないという言語は確認できなかった。これを踏まえて、一人称自称のみで二人称自称を許さない言語<self-blameで二人称自称を許す言語<self-encouragementで二人称自称を許す言語、という含意階層で言語一般が捉えられるのではないかとの可能性を指摘した。 self-commandについての研究成果は第18回国際語用論学会(IPrA 2023)においてSpeaker-referential Vocatives in Self-directed Solitude Speech: Diverse Manifestations of Self-reference among Languagesというタイトルで口頭発表した。 聞き手が概念化者と概念化対象に分離し、前者が話し手と同じ視点に位置付けられると見做せる現象について、日本英語学会国際春季フォーラムにおいてLook at You! instead of Look at yourself!: Inviting Split-Addressee to Speaker’s Standpoint for Surprise Sharingというタイトルで口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度にあたる令和6年度の成果発表として国際会議にポスター発表(Undirected/directed-utterance sequences in Japanese, Korean, and English: A contrastive analysis)で採択されている。なお、令和5年度までの研究内容を総括した論考を査読誌に投稿準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
採択されたいる国際学会での発表の準備をZOOM会議を開催して研究分担者とともを進める。査読誌への研究成果の投稿を遅延なく進める。日韓英以外の言語についての予備的観察をさらに精査しつつ、その他まだ扱っていない言語についても検証を試みたい。
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