研究課題/領域番号 |
22K00563
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
小山 哲春 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (60367977)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | データ収集 / データベース構築 / 理論構築 / 発話行為の効果の検証 / メッセージ・デザインの観測 / 言語コミュニケーション / 社会認知 / 発話行為 / メッセージ効果 / 共感能力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人の言語コミュニケーション能力の基盤として社会認知能力を想定し、その現れを実証的に検証する試みである。具体的には、その遂行に一定の方略を必要とする発話行為(「依頼・説得」、「慰め・励まし」、「皮肉・当て擦り」、「嘘・言い逃れ」、等)に焦点を当て、これらの言語行為の効果的な遂行を可能とし、他者の発話行為の適切な認知・解釈を支える社会認知能力として共感能力、視点取得能力、認知複雑性、共同注意能力、こころの理論機構、等を想定し、その影響を実証的に明らかにする。また、これらの研究成果を通じ、応用研究として発話行為産出(抑制)・解釈能力向上のためのトレーニング・システムの提言を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度に引き続き、方略的言語コミュニケーション行動(依頼・説得、慰め・励まし、皮肉・当て擦り、嘘・言い逃れ、その他)がどのような形で実際に遂行されているかを幅広く観察し、その成功(あるいは不成功)を言語学的(すなわち、言語的発話遂行構文の観点から)のみではなく、聞き手の観点(判断)からも規定することを目的とし、方略的言語コミュニケーション行動を幅広く収集し、過去の発話行為研究の知見の下、この分類(データベース化)作業を引き続き行なった。データ収集が予定より遅れており、まだ十分なデータ数を得るに至っていないが、理論構築(発話行為の理論的分類と検証)に着手し、特に発話行為の効果に関する理論的考察を開始した。 2024年度は、引き続き方略的言語コミュニケーション行動を幅広く収集し、過去の発話行為研究の知見の下、この分類(データベース化)と理論的考察を行う予定である。データ収集の具体的方法としてElicitation Task法(周到にデザインされた具体的な状況(刺激)の提示によって被験者のメッセージ・デザインの顕在化を観測する手法)を用いて言語メッセージのトークンを収集し、KJ法を用いてこれを分類する予定である。その後、上述で規定された、いわば理想的な方略的言語コミュニケーションを実際の場面で効果的に遂行する対人言語コミュニケーション能力について、社会認知能力の観点からこれを概念化し、その影響を実証的に検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 言語メッセージのデータ収集において、特に自然会話での欺瞞メッセージの収集が予定通りには進んでおらず、理論的モデルの検証のために十分なケース数が達成されていない。今後データ収集の速度を加速させ、特にWeb(SNS)におけるデータ収集方法を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、引き続き方略的言語コミュニケーション行動を幅広く収集し、過去の発話行為研究の知見の下、この分類(データベース化)を行う。150~200名のサンプルからElicitation Task法(周到にデザインされた具体的な状況(刺激)の提示によって被験者のメッセージ・デザインの顕在化を観測する手法)を用いて言語メッセージのトークンを収集し、KJ法を用いてこれを分類する。同時に、日・英語の小説、映画、および自然会話コーパス等からも幅広く用例を収集し、過去の発話行為研究の知見の下、この分類を行う。また、収集・分類した発話行為を対象とし、聞き手の観点から、どのようなメッセージ・デザインが「効果的」であるのかを実証的に検証し、これらの成立(成功)メカニズムの語用論的および社会心理学的説明(モデル)を構築する予定である。
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