研究課題/領域番号 |
22K00570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
永澤 済 上智大学, 言語教育研究センター, 准教授 (50613882)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 和化漢文 / 変体漢文 / 裁許状 / 中世古文書 / 日本語史 / 語彙 / 文法 / 文体 / 言語接触 / 漢語 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題は、中国漢文を起源とし日本で独自に語法・文法・文体を成立させた、「変体漢文」の言語学的研究である。変体漢文は漢字文化圏であるベトナム語、朝鮮語にも独自のものがみられ、言語学的に貴重な資料である。しかし、これまで十分に考察されてこなかった。そこで、その日本における実態を言語学的に解明する。中心的な資料として、時代・目的の明確な中世の判決文書「裁許状」700通超を分析し、語法・文法・文体の実態を明らかにする。また、語彙のデータベース化を行い、語彙の全体像を明らかにする。これを基準に、他の文書や前後の時代に分析を広げ、日本における変体漢文の成立過程や日本語との相互交流の解明に進展させる。
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研究実績の概要 |
本課題は、中国漢文を起源とし日本で独自の語法・文法・文体を成立させた、「変体漢文」の言語学的研究である。日本語史の観点で貴重な資料であるが、これまで実態記述や考察が十分に行われてこなかった。変体漢文は多種多様で、時代もスタイルも多層的であり、その中で本研究では、語法や語彙の面で比較的均一の「鎌倉幕府裁許状」を中心的な資料に据えている。これを一つの基準とし、時代やスタイルを異にする他のタイプとの比較を進展させる計画である。 本年度は、「鎌倉幕府裁許状」700通超に使用されている語彙の特性、語義について解明するため、日本史学の研究者の協力を得て語彙のリスト化作業を進めた。現時点で、関東裁許状のうち約160通分についての入力作業を終えている(翌年度も継続予定)。当作業の当初の目的は、裁許状に使用されている語彙とその語義をデータベース化し学界に供することであったが、入力作業の進展に伴い、使用語彙の実態を数量的に解明する基盤にもなることがわかった。今後、その分析にも着手する。 また一方、一点ずつ文書を調べ、裁許状の文法と語彙等について解明する手法も併用して研究を進めた。関東裁許状379通を資料に、多用される特徴的な文法形式に着目し、用例の収集を行った。収集した用例に基づき、現在、複数の形式について並行して分析を進めており、次年度、論文を執筆する計画である。加えて、他の研究者との交流を通して、個々の文法形式の用法以外に、構文や統語的な特徴においても分析すべき対象を見出したので、今後、研究を行う。同じく、鎌倉幕府裁許状の中で、六波羅探題発給文書ならびに鎮西探題発給文書に、関東裁許状とは文法や語彙の面で異なる点を見出したので、今後、その異同についても分析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中世許状語彙のデータベースのための入力作業は概ね順調に進展している。文法・語彙の分析にやや遅れがある。
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今後の研究の推進方策 |
中世許状語彙の入力作業を引き続き進め、データベース作成の基盤を整える。『鎌倉幕府裁許状集』上巻を用いて文法形式と語彙の分析を行う。下巻にみられる、六波羅探題発給文書、ならびに鎮西探題発給文書との異同を検討する。以上について論文にまとめる。 変体漢文一般の中で、鎌倉幕府裁許状の和化漢文の文法・文体・語彙がどのような特性をもつかを、先行研究の成果等と比較することにより分析する。 他のジャンルの言語資料と、語彙・文法・文体面での影響関係を調査する。 今年度、他の研究者との学術交流により得た知見(変体漢文に特徴的な受身文が見られる等)について新たに分析を行う。
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