研究課題/領域番号 |
22K00578
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
辻本 桜介 関西学院大学, 文学部, 助教 (90780990)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 複合辞「かけて」 / 複合辞「にまかせて」 / 「とす」 / 古代語 / 中古語 / 引用助詞「と」 / 格助詞 / 訓点資料 / 複合辞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「を」「に」「い」「をして」「にして」等10種の古代語の格助詞を取り上げ、それぞれの違いが分かるように意味の特徴を記述する。具体的には「に」と「と」の表す“変化の結果”の違いなど、同一環境で格助詞の現れ方が異なる例に着目し、主に格助詞の前接語の種類を観察して比較することで、それぞれの格助詞が持つ特徴を捉える。格助詞は高校国語の必修項目であるから、本研究の成果は日本における国語教育の質の向上に大きく寄与することも期待できる。
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研究実績の概要 |
本課題は古代日本語の各種の格助詞の働きを記述するものである。本年度は、従来から格助詞の一種とされている「と」と、2種類の複合格助詞を取り上げ以下の点を4件の単著論文において報告した。 ①現状として、古代語において引用助詞として用いられる「と」に関する研究は停滞しているが、係り先となる述部のあり方や、他の要素と組み合わさって転成した複合辞の種類・用法など、今後の課題となる点が山積している。 ②中古語の複合辞「かけて」は2つの用法を持つ。(1)場所用法:部屋を表す名詞とその部屋に隣接する付属設備を表す名詞がこの順で並んだ語列に接続し、それらの名詞によって表される物理的な範囲内において、述語句の表す静的事態が生じていることを示す。(2)時間用法:一定の長さの期間を表す名詞に接続し、述語句の表す動的事態の開始点がその期間内にあることを示す。 ③中古語の複合辞「にまかせて」は、〈主体の制御下にない心理(を持つように見えるもの)〉に随伴する動きを描写するための形式である。本動詞「まかす」が有情物や純粋な無情物をニ格に取るのに対し、「にまかせて」の前接名詞は主体の制御から解放された心理か、そうした心理を持つかのようにひとりでに動く事物を表すものに偏る点からそう言える。 ④古代語において文相当句を承ける「とす」は次の①~⑤に分類できる。①「むとす」「じとす」「命令形+とす」のように、意図を引用する構造おいて、述部に具体的意味を持たない動詞が現れる傾向から生じたもの。②疑いを表す疑問文なども含めた、主節主体の“考え”の内容を引用するもの。③「…するかと思うと間もなく」のような意で訳せる複合辞「かとすれば」。④前件事態の完遂に向かう様を描写しつつ、その事態が未完結に終わることを含意するもの。④前件の動作を完遂に向かう中で、その動作の一環として後件の動きを起こすこと意の複合辞「として」。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
単一形式の「と」「い」に関してはほぼ分析を終え、そのうち「と」に関しては論文2編によって成果を報告でき、「い」についても論文としての公表の目途がたった。それと並行して複合格助詞「かけて」「にまかせて」を取り上げてそれぞれについての成果を論文として公表できた。「を」「に」「より」等の用例もすでに観察を始めることができている。現状としては、予想外のペースで研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
単一形式の格助詞「を」「に」「へ」「より」等の分析に注力する。「と」に関しては、本研究課題の代表者が2021年度以前に個別に公表してきた成果をも綜合して考察する段階に入る。その傍ら、「をして」「にして」「において」等の訓点資料に多い複合辞の用例分析を進める。
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