研究課題/領域番号 |
22K00585
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
深津 周太 静岡大学, 教育学部, 講師 (50633723)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 感動詞化 / 副詞化 / 応答 / 反語 / 否定 / 何の / 感動詞 / 中近世日本語 / 対人的機能 / 疑問詞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、感動詞が近年の日本語(史)研究において重要視される対人コミュニケーション機能の一端を担うものであるとの見立てのもと、その歴史描出を以て日本語(史)全体の解明に寄与することを最終的な到達点として目論むものである。これは対人コミュニケーションの歴史全体において当該現象が重要な位置を占めるという研究代表者の見立てに基づく課題設定であり、感動詞が新たに産出される文脈の解明は、当時の言語運用に適したコミュニケーション方法を知ることに直結すると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究では〈働きかけ・応答〉といった対人的機能を果たす感動詞が中世末期以降に増殖していく実態を探ろうとする。 当該年度における研究実績は、感動詞増殖の最たる要因である「語彙項目の感動詞化」の一例を扱ったものである。具体的には反語表現に用いられる「何が/何の」の史的変化を描出したもので、このうち「何の」が結果として否定応答の感動詞へと変容していくところまでを論じた。論旨は以下の通りである。 中世末期の「何が/何の」は[何+主格助詞]という構成で推量表現と共起する“反語用法”として用いられるが(例:何が情が強かろう)、そこから反語用法が含意する否定の意味を前景化して直接否定と共起する“否定明示用法”が派生した(例:何の忘れはせぬ)。このことは、「何が/何の」が一語の副詞へと変化したことを意味する。 中世末期に否定明示用法を生み出した「何が」に遅れ、「何の」は近世前期に当用法を算出する。その後、「何の」が勢力を増し、近世後期には否定応答で使用する“文脈否定用法”を獲得した(例:何の,じつとおとなしうして居なされ)。この用法はきわめて感動詞的性格が強く、その延長線上に感動詞「何の」が確立すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では中世末期以降における感動詞増殖の実態を明らかにするため、(当該期における)①語彙項目の感動詞化、②感動詞としての語形派生、の二点を主要な検討課題としている。当該年度の研究成果は①に該当するものであり、それが個々のケースを蓄積することが必要な段階にあることを鑑みても、進捗は順調であると思われる。 また、同成果は日本語文法学会論文賞を受賞しており、本研究課題自体に対する一定の評価も得ることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き①語彙項目の感動詞化に関する事例分析を重ねていきたい。特に疑問詞由来の応答表現は当該年度の成果とも深く関わるものであるため、併せて考察していく必要性を感じている。また②感動詞としての語形派生については、用例データの収集を通して、やや下った時代を対象とする必要があること、方言差を考慮しなければならないこと、が見えてきている。対象とする資料の選定も含め、①と並行して進めていきたい。
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