研究課題/領域番号 |
22K00604
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大野 英志 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (80299271)
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研究分担者 |
地村 彰之 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 名誉教授 (00131409)
中尾 佳行 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 名誉教授 (10136153)
佐藤 健一 滋賀大学, データサイエンス学系, 教授 (30284219)
周 躍 島根大学, 学術研究院教育研究推進学系, 准教授 (80848549)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 非人称構文 / 『カンタベリー物語』 / 16世紀刊本 / 史的変化 / カンタベリー物語 |
研究開始時の研究の概要 |
The Canterbury Talesの初期2写本(1400年頃)で人称・非人称両構文が見られる17動詞について、16世紀刊本(Thynne版、Stow版、Speght版)とその手本とされる15世紀刊本との本文異同の有無とその要因(動詞の現れる統語環境、韻律や脚韻などの要請、他テクストの影響、文脈の影響)、つまり古の物語を同時代の人に読みやすくという編集者のテクスト編集方針の一端を明らかにする。そのために、16世紀刊本を電子化し、電子化済みの初期2写本や15世紀刊本とのパラレルテクストを作成する。
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研究実績の概要 |
本研究は、『カンタベリー物語』の16世紀刊本において、その本文異同の状況から当時一部を除き廃れていたといわれる非人称構文がどの程度継承され、また反対にどの程度書き換えられたかを明らかにするものであり、言語変化を考えるための基盤研究である。作品全体を電子化し、パラレルテクストを作成し、初期写本や15世紀刊本とテクスト比較することで、16世紀に作成された3つの刊本に反映されている編集者の言語感覚や他テクストからの影響を考察することを目的とする。 本年度は、Thynne版とSpeght(1598年)版について作業を行った。Early English Books Onlineから刊本の画像ファイルを入手し、刊本に特殊な文字等についての情報をグループ内で共有しながら、電子化作業を進め、『カンタベリー物語』の10の断片のうちThynne版の未着手の4断片、そしてSpeght(1598年)版の3断片を電子化して、パラレルテクストを作成した。また、このデータなどに基づいて、2023年8月開催の国際研究会The 2023 Hiroshima International Conferenceでシンポジウム ‘Problems in Manuscripts and Early Editions of the Canterbury Tales’ を行った。 また、大野は15世紀刊本のデータに基づく非人称動詞listの変化について分析・考察し、人称構文化は一様でないことを明らかにし、その論考は学術雑誌『近代英語研究』(2023年度7月発行)に掲載された。 以上のように、今年度は断片的ではあるが、Speghtまでの刊本における非人称構文の取り扱いの概要をつかむことができた。また、基礎資料の発展的活用法の可能性を示したことは、十分に意義があることと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、Thynne版の入力に際してアルバイト学生の力を借りて、Thynne版の入力を完成させることはできた。ただ、3つあるSpeght版の1つ目の入力は4割ほどに留まり、この版を完了させる目標には届かなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は大野がサバティカルで、本研究に専念できる。分担者と協力しながら入力作業のスピード化をしたい。Speght版やStow版はそれまでの刊本を基に作成されたと言われていることから、これらの刊本の入力時に、基となる刊本テクストを再チェックすることによって、データの正確性を上げる。また、2024年6月に開催予定のシンポジウム「チョーサーの言語研究 40 年:テクストとその読みを考える」において、分担者である中尾佳行氏、周躍氏と共に、本研究の最新の成果を報告する予定である。
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