研究課題/領域番号 |
22K00608
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
豊島 孝之 東北学院大学, 文学部, 教授 (40311857)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 対併合 / 大併合 / 付加部 / 項 / 付加部条件 / 名詞化 / 極小主義プログラム / 定性記述 / 語根 / 分散形態論 / 生成文法 / 極小主義 / 付加構造 / 修飾語 |
研究開始時の研究の概要 |
伝統文法での所謂「修飾語」は、生成文法では付加構造を形成していると考えられ、最新理論の極小主義プログラムにおいては「対併合」操作により生成された順序対 <α,β> を形成していると考えられているが、数学的には順序対は順不同集合 {α,{α,β}} に還元可能である。だとすれば「集合併合」操作により生成可能なはずである。 理論的には、併合操作を2種仮定する理論よりも、1種の併合操作のみを仮定する理論の方が優れていると言える。 本研究では、「対併合」操作を排し、「集合併合」操作のみで全ての統語構造が生成可能か、また関与する現象を正しく捉えることが可能かを探求する。
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研究実績の概要 |
本研究は、最新の極小主義プログラムにおける大併合操作の枠組みの中で、付加部の生成をいかに捉えられるべきか究明することを目的とするが、2年目の令和5年度は、一般的な極小主義プログラムでの付加部の扱いと、統語構造地図作成計画での扱いとの違いに関する調査研究、「反局所性」制約に関わる言語現象の調査及び記述研究、付加部条件に関する調査及び記述研究を中心に研究を進め、特に予見される付加構造で問題となる「反局所性」制約と、従来から付加部からの抽出移動に対する制約として認められてきた付加部条件がいかに分析、説明可能かを究明する計画であった。 付加部条件に違反する例も報告されているが、構造上それらが付加部からの抽出移動なのか否か不明瞭な場合も多く、付加部の定/不定性の違いが関与している可能性が観察された。 そこから派生して、名詞句の定/不定性についての研究を進め、定性記述名詞句の意味解釈について、これまで一般に受け入れられていた指示的、叙述的、量化的解釈に加え、不定性記述名詞句と相同の選択関数による第4の解釈の可能性を見出した。この成果は論文にまとめ、学会誌に投稿し、現在査読中である。 また、指導する大学院生と昨年度から共同研究を進めてきた、いわゆる受動名詞化においては能動名詞化とは異なり、外項は認可されず常に付加部となることを究明し、その成果は、フランスのナント大学で開催された10es Journe'es d’Etude sur les Nominalisationで口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に計画していた、一般的な極小主義プログラムでの付加部の扱いと、付加部条件に関する調査及び記述研究については、ほぼ完了したが説明理論には至っておらず、また統語構造地図作成計画での付加部の扱い、および「反局所性」制約に関わる言語現象の調査及び記述研究については、約6割の進捗状況である。 しかしながら今年度の研究の過程で、予期していなかった問題として浮かび上がった、名詞句の項性判断に関わる定性記述名詞句の意味解釈について、論文投稿まで進めることができた。 以上の状況より、「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、完了とまで進まなかった、付加部条件の理論的研究と、統語構造地図作成計画での付加部の扱い、および「反局所性」制約に関わる言語現象の調査及び記述研究を進め、並行して来年度に計画していた分散形態論/外骨格構造理論に基づく語根と範疇化辞に関する調査及び記述研究と主要部付加移動現象に関する調査及び記述研究を進め、対併合操作を集合併合操作の連続適用として還元できるか否かを究明する予定である。
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