研究課題/領域番号 |
22K00611
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
石崎 保明 南山大学, 外国語教育センター, 教授 (30367859)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 使役構文ネットワーク / 構文文法 / 認知言語学 / 所格交替 / 自他交替 / 近代英語 / 英語使役構文 / 通時的構文文法 |
研究開始時の研究の概要 |
現代英語には多くの使役構文が存在するが、それぞれの構文の歴史的発達が十分に解明されているわけではない。本研究では、所格交替や自他交替などに見られる、特に使役的な意味を持つ構文の発達を、それらが顕著に観察され始めた初期近代英語期以降の言語資料を用いて調査し、それらの使用の実態や変化に対して、通時的構文文法理論、とりわけ構文ネットワーク理論の観点から説明を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、英語に存在するいくつかの使役的な意味を持つ構文、その中でもいわゆる交替とよばれる現象にかかわる使役構文、に着目し、それらの通時的な発達や変化の事実を提示し、交替にかかわる構文間の関係を認知的なネットワークの観点から考察することである。 本研究は、交替現象に関係する使役的意味を持つ構文の共時的な分布とそれらの通時的変化に対する実証研究と、通時的発達に対するネットワーク理論の構築、に大別される。採択期間の1年目となる今年度は、実証研究に重点を置いてデータの収集を行った。具体的には、所格交替(例:spray the wall with paintとspray paint on the wallとの動詞の目的語の交替)に含まれる動詞および構文の、特に後期近代英語期(Late Modern English, 1700-1900年頃)以降における使用と変化の実態を調査した。 所格交替に関する先行研究では、しばしばsprayがその代表的な動詞として挙げられ、それらのふるまいに関する議論が進められてきた。しかしながら、研究代表者のこれまでの研究から、今から100年ほど前まではsprayは動詞としての使用それ自体が稀であったことが分かっている。この事実を踏まえて、sprayクラスとよばれるsprayと意味的に類似した動詞(例:sprinkle, splash, shower)の後期近代英語期における使用の実態を調査した。その内容は「英語におけるsprayクラス所格交替動詞の歴史的発達について」という題目で、言語変異・変化研究ユニット第10回ワークショップ(東京外国語大学アジア・アフリカ研究会第6回研究会と共催、一般公開)にて口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は実証研究に重点を置いている。言語事実を発掘する際には、主に電子化された文献資料(電子コーパス)を使用している。この場合、どのような資料をどのような意図で採取するかということが重要となる。本研究では構文文法という理論的枠組みを採用しているが、そもそも一つの言語表現にはさまざまな構文(形式と意味のペア)が絡み合っていることから、現在のところ、どの種類の構文を調査対象とするかについて検討しながら資料収集を進めている段階である。また、調査する資料が存在する近代英語期という時代的な背景にも配慮する必要がある。これらの課題は研究当初からの課題でもあり、自分なりの理解や方向性が見えつつあることから、おおむね計画通りに進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在は言語実の発掘に重きを置いているが、それと並行して、徐々にではあるが理論的な理解を深めることにも努めている。近年では通時的な構文の変化を扱う研究も増えつつある状況があることから、そこでの方法論なども学びながら、言語事実の精査を継続しつつ、通時的構文文法理論の深化を図っていきたい。 使役構文ネットワークの研究においては、現時点ではまだ手探りの状況であるが、個々の構文だけではなく、英語史全体の他動詞化の流れというものを意識した研究を行いたいと考えている。とりわけ近代英語期は多くの使役構文が発達した時期でもあり、他動詞化との関係からの使役ネットワーク理論の構築を図っていきたい。
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