研究課題/領域番号 |
22K00613
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
内田 聖二 奈良大学, その他部局等, 特別研究員 (00108416)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 転移修飾 / 認知語用論 / アドホック概念 / 創発特性 / 軽動詞構文 / 同族目的語構文 / 創発特性(urgent property) |
研究開始時の研究の概要 |
伝統的に転移修飾(transferred epithet)と呼ばれている修辞表現は文語的、詩的と言われてきたが、コンピューターコーパスなどで確認すると、現代英語でも同じような現象が観察される。本研究では、この「文語的」な言語現象を認知語用論の視点から見直すことによって、転移修飾、メタファー、連語などにおける修飾関係は基本的に同じで、それぞれが独自の分布をしているのではなく、段階的な言語現象であることの説明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、伝統的に転移修飾(transferred epithet)と類似すると考えられる言語事象をより広範囲に、かつ統一的に説明しようとするものである。転移修飾における「形容詞+名詞」の結合の仕方は、表面上形容詞が名詞を修飾するというごく一般的な統語的な修飾関係がみられる一方、意味的には複雑なつながりを示すが、これまで転移修飾現象の詳細については説得的に解明されているとはいえず、関連する修辞表現への言及もほぼみられない。。 以上を研究背景として、今年度は、昨年度に引き続き資料収集をコンピューターコーパス、フィクションなどから行いながら、転移修飾現象のメカニズムを解明すべく、語用論的推論の解明に重点を置いた。たとえば、(1)の文で、名詞wayを修飾する形容詞wearyは、wearyなのはwayではないので、意味的に動詞plodの様態を述べていると解釈される。 (1)The plowman homeward plods his weary way. なぜこのようなことが起こるのかを、奈良英語学談話会2024(2024年3月30日)で「語用論的推論とアブダクション」のタイトルで分析、考察した。 また、2022年10月15日、英語語法文法学会第30回記念大会(オンライン)で 「語法・文法研究から語用論へ、あるいは語用論から語法・文法研究へ」のタイトルで行った記念講演を『英語語法文法研究』第30号で公刊した。(2023年12月)さらに、提出していた 'Matarepresentational Phenomena in Japanese and English' が国際雑誌Pragmatics Vol. 33-3に掲載された。 加えて、「シリーズ英文法を解き明かす」(研究社)(全10巻)の『ことばを彩る2 形容詞修飾の諸相』(金澤俊吾著)を精力的に編集した。2024年度に刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で述べていた当初の予定と多少順番が入れ替わったところがあるものの、基礎となる資料収集の点で順調に推移している。なお、転移修飾現象の推論システムとしてアブダクション推論が重要な役割を果たしている可能性が出てきたのは予定外の成果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年の2024年度は、引き続き基本となる転移修飾そのものについての資料のみならず、関連する修飾現象の周辺資料をコンピューターコーパス、フィクションなどから収集する。また、2023年3月に行った口頭発表を加筆修正して公刊する予定である。さらに、これまで特に転移修飾とは考えられてこなかった軽動詞構文、同族目的語構文、one's way構文などにも分析を発展させ、認知語用論的視点からの統一的な説明を求めて考察を行う。さらに、各種学会に参加して情報収集、資料収集を進める予定である。
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