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初期近代英語期のインポライトネス現象についての歴史社会語用論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00626
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02080:英語学関連
研究機関法政大学

研究代表者

椎名 美智  法政大学, 文学部, 教授 (20153405)

研究分担者 滝浦 真人  放送大学, 教養学部, 教授 (90248998)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード歴史語用論 / ポライトネス / インポライトネス / モダリティ / 本音と建前 / 創造性 / 談話分析 / 言語行為 / コーパス
研究開始時の研究の概要

本研究は、コーパスアプローチによる英語学の歴史社会語用論的視点からのインポライトネス研究で、初期近代英語期口語表現のインポライトな発話行為(悪態・侮辱・罵倒等)を、歴史社会語用論的視点からポライトネス理論を使って量的・質的に分析する。量的分析では統計的に全体の傾向と各テキストの特徴を調べ、質的分析では語用論的特徴を記述する。ここでの「インポライトネス」は、言語的に相手を不快にさせること、無礼な行為を指す。

研究実績の概要

これまでのインポライトネス研究のまとめとして、ひつじ書房より、研究分担者の滝浦真人氏と共同で『インポライトネスーーからまる善意と悪意』というタイトルの論文集を編集した。本論文集には、自らの単著・共著による論文も含め、日本語と英語においてインポライトネスを研究している研究者の論文が集められている。表題に「インポライトネス」というタームがついた研究書はこれまでなかったので、日本でのインポライトネス研究を牽引することになったと考えられる。その論文集の中には、椎名単著の 「悪態をつく人びとーシェイクスピア時代のコメディを分析する」と、共同研究者、及び英文学研究者の阿部公彦氏の3人の共著の「意地を張りあう人びとー『明暗』におけるイン/ポライトネス」という論文が収録されている。単著の「悪態をつく人びとーシェイクスピア時代のコメディを分析する」は、本研究課題である初期近代英語期のインポライトネス研究をコーパスアプローチで行ったもので、一つの成果と言える。「意地を張りあう人びとー『明暗』におけるイン/ポライトネス」は、英語のインポライトネス研究で考察してきたインポライトネスの概念と分析方法が、日本文学の作品にも応用することができることを証明する論文であり、研究分担者以外の英文学者とのコラボレーションができたという点で意義深い。
学会発表としては、他の共同研究者(中安美奈子氏)と、初期近代英語期の口語表現を集めたコーパス内の裁判テキスト(チャールズ一世の弾劾裁判)に関して、モダリティを中心に分析した研究を、国際英語学会にて発表した。
このテーマを発展させたものとして、ポライトネスとの関連で日本語の敬語について「させていただく」関連の講演をし、その講演を元にした論文を「待遇コミュニケーション研究』に発表した。また、英語での論文も現在執筆中で、2024年度には出版される予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日本の語用論研究において、インポライトネス研究はまだあまり進んでいないので、そのきっかけとなるようにインポライトネスをテーマとして研究書を編集した。その過程で、英語だけでなく日本語でインポライトネスを研究している研究者との交流もできたし、研究分担者以外の研究者とのコラボレーションができて、最初に考えていたよりも発展的に研究が進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

インポライトをテーマにした論文集に寄稿する論文を執筆することにより、インポライトネスへの考察が広がると同時に深まったし、研究分担者以外のインポライトネス研究者との意見交換ができたので、今後も、その方向で研究を進めていきたい。個々のテキストの分析をさらに進めて、コーパス全体の傾向を把握する方向に研究を進めていきたいと考えている。ただ、当初考えていた「インポライトネス理論の構築」に関しては、少し考え方を変える必要がある。なぜなら、分析を進めるにしたがって、ポライトネス理論とは違って、理論が構築できないのがインポライトネスの特徴ではないかということがわかってきたからである。そのあたりの研究の方向性を再検討する必要があると考えている。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 「新刊クローズアップ『イン/ポライトネス ―からまる善意と悪意―』」『日本語学』2024

    • 著者名/発表者名
      滝浦真人
    • 雑誌名

      『日本語学』

      巻: 43(1) ページ: 54-54

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「シン・させていただく」の誕生秘話―文法化と敬意漸減の影響―2024

    • 著者名/発表者名
      椎名美智
    • 雑誌名

      『待遇コミュニケーション研究』

      巻: 21 ページ: 50-65

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] A new trend in Chinese address and its theoretical implications : An argument from observations of bifocal strategies in recent chat commerce2023

    • 著者名/発表者名
      Tingting Xiao, Masato Takiura
    • 雑誌名

      East Asian Pragmatics

      巻: 8(3) ページ: 383-413

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「すり減る敬意と日本語の現在」2022

    • 著者名/発表者名
      滝浦真人
    • 雑誌名

      『ユリイカ』

      巻: 54-10 ページ: 103-112

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「歴史語用論(タイムマシン)から見る「させていただく」の現代語性2022

    • 著者名/発表者名
      椎名美智
    • 雑誌名

      『ユリイカ』

      巻: 54-10 ページ: 113-123

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Face and (im)politeness2022

    • 著者名/発表者名
      Michi Shiina
    • 雑誌名

      East Asian Pragmatics

      巻: 1 ページ: 131-134

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Indigenous pragmatic research on Japanese.2022

    • 著者名/発表者名
      Masato Takiura
    • 雑誌名

      East Asian Pragmatics

      巻: 1 ページ: 40-66

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「日本語の敬語と語用論 ―敬語の語用論はタメ語の語用論―」2022

    • 著者名/発表者名
      滝浦真人
    • 雑誌名

      『日本語学』

      巻: 41-3 ページ: 22-33

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「語用論から見た日本語の姿 ―知らずに使っている言葉の癖を知りたい―」2022

    • 著者名/発表者名
      滝浦真人
    • 雑誌名

      『AJALT』

      巻: 45 ページ: 18-23

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Intersection of traditional Japanese honorific theories and Western politeness theories2022

    • 著者名/発表者名
      Masato Takiura
    • 雑誌名

      Handbook of Japanese Sociolinguistics

      巻: 1 ページ: 327-354

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Strategies of Power and Distance in the Trial Record of King Charles I: Combinations of Personal Pronouns and Modality in Speech Acts2022

    • 著者名/発表者名
      Michi Shiina and Minako Nakayasu
    • 雑誌名

      Variational studies on pronominal forms in the history of English, Studies in the History of the English Language

      巻: 9 ページ: 63-89

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「書く「目的」と「スタイル」の話」2023

    • 著者名/発表者名
      滝浦真人
    • 学会等名
      国立国会図書館 調査局 研修講義
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「チャット・コマースに見る“遠近両用”ストラテジーと東アジアの語用論 ― 中国語の対人距離感にいま起こっていること ―」2023

    • 著者名/発表者名
      滝浦真人他
    • 学会等名
      日本語用論学会第26回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Trial Record of King Charles I; Space, Time, History and Discourse in an Early Modern Courtroom2023

    • 著者名/発表者名
      Nakayasu M, Shiina M
    • 学会等名
      The 7th International Meeting of the International Society for the Linguistics of English
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「チャールズ一世の裁判記録における時空間体系」2022

    • 著者名/発表者名
      中安美奈子と椎名美智
    • 学会等名
      近代英語協会第39会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『イン/ポライトネス ―からまる善意と悪意―』2023

    • 著者名/発表者名
      滝浦真人・椎名美智(共編著)
    • 総ページ数
      267
    • 出版者
      ひつじ書房
    • ISBN
      9784823411595
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] イン/ポライトネス2023

    • 著者名/発表者名
      滝浦 真人、椎名 美智
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      ひつじ書房
    • ISBN
      9784823411595
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 「させていただく」大研究2022

    • 著者名/発表者名
      椎名 美智、滝浦 真人
    • 総ページ数
      332
    • 出版者
      くろしお出版
    • ISBN
      9784874249246
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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