研究課題/領域番号 |
22K00630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
井出 里咲子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80344844)
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研究分担者 |
澤田 浩子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (70379022)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 在日外国籍家族 / 地域社会 / 言語人類学 / 公共人類学 / 異文化間コミュニケーション / 保育の場 / 児童 / 在日外国人家族 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は在日外国人家族が地域社会に参入する際の入り口の一つである保育園・幼稚園・こども園(以下、保育園とする)にて、保育側と外国人保護者のコミュニケーションを促進し、文化的な衝突を回避するためのコミュニケーションシステムの構築を目指す。特に保育の現場で頻繁に使われる用語や日本の保育園独自の行事やルールの理解を促進するツールとして、スマホでアクセス可能な①多言語コミュニケーションボード、②ビデオガイドの構築を目指し、日本語を使いながらも、保育側と外国人保護者側が歩み寄り、コミュニケーションをとれる環境を整備する。
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研究実績の概要 |
本研究は日本に増加する定住型、家族帯同型の外国籍住民が地域社会参入への入り口となる保育の場(保育園等)で、日本語による対話やかかわり合いの場を増やす仕掛けづくりを目指すものである。茨城県つくば市を拠点に参加型アクションリサーチを実施する本研究では、大学院生、学部生を含めたワーキングチームを立ち上げ、外国籍住民、保育園、自治体、筑波大学といったアクターで協働の上、全国で利用が可能なシステムを構築することを目的としている。 本研究の学問的な問いは以下の三点である。第一に、学業上日本語学習を必要としない留学生およびその帯同家族は、日本で暮らす上で、また自らの人生設計上、日本語学習をどのように位置づけているのか、第二に、こうした日本語を話さない留学生が親として地域社会に参入するにあたり、どのような問題が生じているのか、また第三に、上記について留学生を有する大学はいかなる社会的責任をもつのか、である。 研究初年度にあたり、筑波大学研究倫理委員会からの許諾を得て、つくば市の3つの保育施設にて保育者・職員に向けたアンケート調査を実施した。また重点的に3つの保育の場(公立保育園、民間保育園、公立幼稚園)にて園長と職員からの聞き取り調査を実施した。これらから外国籍家族や児童とのコミュニケーションにおいて感じられる困りごと、悩み、さらに工夫についての意見が集約された。またつくば市が定期的に運営する所長会議を伝手として、コミュニケーション用のカードやポスターの試供品を配布し、現場の使用をもとにしたフィードバックをいただいた。これらの成果は学会発表1件および紀要への投稿論文1件、さらにつくば市役所での成果報告会へと結実した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍において実際に保育の場に入りフィールドワークがしにくい中において、保育者やつくば市の方々のご厚意から調査が進んだ。一方当初予定していたビデオ制作という目標については、つくば市職員の方々、また保育現場の職員の方々との協議から、取り下げることとなり、保育の場ですぐに使え、さらに保育者と保護者のコミュニケーションをその場で立ち上げ、その促進に寄与するツールを作ることに目標が変化している。一方、初年度の調査は保育園の保育者側への聞き取りが中心となり、外国籍家族への聞き取りは十分に行えていない。さらに、外国籍保護者と保育者のコミュニケーションだけでなく、外国籍児童、ひいては日本人保護者とのコミュニケーションを促進する可能性も開かれることとなった。二年目においてはこれらの点を鑑みて成果が上がる計画を練りたい。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる本年度においては、保育の場における保護者と保育者、児童のコミュニケーションを促進するツールを具体的に開発し、それら試作品を製品化して保育園にて使ってもらうことを目標とする。またツールをつくば市役所のホームページからダウンロード可能な形態として、ほかの保育園でも使用可能な形で還元することを試みる。これらの参加型アクションリサーチの成果は、言語政策学会、社会言語科学会、言語文化研究会といった学術学会で発表すると同時に、あらたな学術論文を執筆し、最終年度の成果を書籍にまとめる上での準備期間としたい。
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