研究課題/領域番号 |
22K00635
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
松尾 憲暁 岐阜大学, グローカル推進機構, 助教 (80626656)
|
研究分担者 |
高井 かおり 東亜大学, 芸術学部, 教授 (00934548)
山本 晋也 周南公立大学, 経済学部, 准教授 (20710742)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 日本語教育人材 / 非直線型キャリア / 転機 / 意識変容 / 複線径路等至性アプローチ |
研究開始時の研究の概要 |
日本語教育では、教師としてどのように成長していくかという力量形成に主眼を置く直線型キャリアに焦点が当てられてきた。しかし、実際にはこのようなキャリアを歩む事例は限られており、直線型キャリアのみを想定していては、養成を受講した大部分の人材の価値が埋もれてしまう。そこで、本研究では、生涯を通じて複数の職業に関わる非直線型キャリアを想定し、日本語教育に携わる個人の、在職・離職・復職という一連のキャリアを包括的に捉えるための理論枠組みの構築を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究課題では以下の3つに取り組んでいる。①キャリア及び生涯発達に関する文献の調査、②日本語教育人材へのインタビュー調査の実施と分析、③②の結果を踏まえた、日本語教育人材のキャリア形成モデルの生成である。2年目にあたる本年度は①と②を中心に研究を進めた。2023年度は、2022年度に実施した日本語教育におけるキャリア研究の文献調査の結果を論文にまとめた。また、インタビュー調査に先立ち、研究メンバー3名のキャリアを振り返るという活動を行った。結果、協働での振り返りによって、それぞれのキャリア意識に変容が見られた。この結果は実践への還元として有益だと考えられたため、内容をまとめ、国際シンポジウムにて発表した。このような取り組みと並行して、7名に対するインタビュー調査を実施し分析を進めている。さらに、2023年度は、近接テーマで研究を進める佐藤綾氏らのグループ(研究課題21K00622)と合同で、現役日本語教師を対象にしたワークショップを実施した。研修に近い取り組みではあったが、当日は、教師養成に関わる方々や、本研究課題の対象者と重なる経験を有した方々も参加され、本研究と関わるご意見を多く伺うことができた。 2023年度の主な実績は以下の通りである。 1)松尾憲暁・山本晋也・高井かおり(2023)「日本語教育分野における「キャリア」にする研究の動向 ―2004年から2022年までの文献調査から―」『岐阜大学日本語・日本文化教育センター紀要 2022』p.23-32. 2)松尾憲暁・佐藤綾・高井かおり・片野洋平・山本晋也(2023)「日本語教師としてのキャリアを語り合おう」(オンラインでのワークショップ) 3)山本晋也・松尾憲暁・高井かおり(2024)「協働でキャリアを振り返る試み-複線径路等至性モデリング(TEM)を用いて-」(於:第1回タイ国日本語教育国際シンポジウム口頭発表)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目に該当する2023年度は、日本語教育人材へのインタビュー調査の実施と分析を予定していた。しかし、2022年度に実施した文献調査を論文化する作業に時間を要したため、予定よりインタビュー調査に入るのが遅れてしまった。加えて、インタビュー調査にあたり、調査の視点や分析方法等について研究メンバー3名の間で統一する必要があった。そのため、研究者自身のキャリアを振り返るという活動を行い、自分たちのキャリア形成を素材としながら研究の視点や分析方法のズレなどを確かめていった。活動を行ったことにより、進捗は予定より遅れることとなったが、3者間の認識を整理することができた。このことは今後の調査、分析の精度を高めることにつながるものと考えられる。 以上の通り、予定していた計画とは若干異なるものの、調査研究の進展に関わる取り組みを展開できたと考えられる。また、調査についても、分析が完了しているわけではないが、7名に対して1回以上のインタビューを実施することができた。これらを踏まえ、「おおむね順調に進展している」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの取り組みを通じて調査研究の基盤が整い、インタビュー調査が進んでいる。2024年度も、引き続き、離職・復職の経験を持つ日本語教育人材へのインタビュー調査を実施し、彼ら/彼女らのキャリア形成プロセスの分析を進めていく予定である。本研究が採用している複線径路等至性アプローチでは1名につき3回以上のインタビューを行うことが質の高い分析につながると言われている。そのため、2023年度に実施していた協力者へのインタビューと継続するとともに、新規の協力者への調査も開始していく予定である。2024年度は日本国内及びベトナムでの調査を予定しているが、海外での調査については、現地の社会情勢等も関わるため、実施の可否を慎重に検討する。もし実施が困難と判断されれば、調査対象国の変更やオンラインでの調査の実施等の代替案を検討し、柔軟に対応していきたい。また、引き続き、本研究テーマに関わる研究者や研究者グループとの情報交換を行っていくとともに、2024年度も、調査から得られた結果を学会や研究会等にて積極的に発表していきたいと考えている。
|