研究課題/領域番号 |
22K00640
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
永井 涼子 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (10598759)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 談話分析 / 日本語教育 / 職場談話 / 定型性 / 外国人就労者 / 外国人技能実習生 / 職業談話 |
研究開始時の研究の概要 |
日本には多様な形態の多くの外国人就労者がいる。彼らにとって「どうすれば自然なコミュニケーション力が身につけられるか」は大きな課題の一つである。本研究はその答えの一つとして、言語処理の負荷を軽減できることから談話の持つ定型性(談話全体における話者に共通する特徴)の特徴を明らかにし、職場談話の定型性について解明する。その上で環境が固定された談話には定型性が談話全体に存在することを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は職場談話を対象に、その特徴について定型性という観点から分析・考察を行うものである。職場としては調査のしやすさ、近隣地域で働く外国人の数等を勘案して商業および農業分野を対象とし調査を進め、談話において話者に共通する特徴:当該談話の定型性を明らかにすること、および談話の定型性、日本語教育への援用可能性について考察を行うことを目的としている。 まず調査協力先探しのための活動を行った。昨年度、ある程度の協力先については協力の内諾を得ていたが、数を増やす必要があったため、新たな協力先探しを行った。農業分野においては九州地方に協力先を得ることができたが、商業分野ではなかなか理解が得られなかったため、建築や介護等、外国人が多数働く他分野にも手を広げて協力先探しを行った。介護分野については協力先が見つかり、建築分野については現在も交渉中である。 また、研究成果を日本語教育への具体的な援用例として公開するための情報収集として、当該分野で働く外国人に対するインタビュー調査も実施した。具体的には農業および介護分野における外国人技能実習生を対象に、就業上、生活上の様子等をインタビューし、彼らの日本語学習に対するニーズがどのようなところにあるのか等を探った。 さらに情報収集の一環として職場のコミュニケーション研究会に参加し、職場談話研究分野で世界的に有名なLanguage in the Workplace ProjectのリーダーMeredith Marra氏の基調講演をはじめ、日本人と外国人がともに働く場面の職場談話研究の最先端の研究成果についての情報を得た。 また、外国人と働く日本人の談話調整の実態についても知る必要があると考え、「やさしい日本語」に関する活動も行った。非専門家である日本語母語話者がやさしい日本語を使うにあたり苦労する点や効率的なやさしい日本語のポイントについて分析し、まとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査を進めていくにあたり、当初想定していなかった方面に気づき、研究の幅を広げたため、本課題そのものに関する進捗状況はやや遅れていると言わざるを得ない。具体的には、これまでは実際に現場で行われている談話を対象に分析さえすれば「自然なコミュニケーション」の実像がつかめると思っていたが、日本人は相手が同じ日本語母語話者か、外国人就労者かでコミュニケーションの工夫を自分なりに行っているため、日本人側が外国人にどのように寄り添ったコミュニケーションをとろうとしているのか等にも目を向けた調査活動が必要だということがわかった。そのため、本年度は日本語母語話者が外国人就労者に対して行うコミュニケーションの工夫の一環として、「やさしい日本語」に関する調査・研究活動も行った。 一方で、次年度本調査実施ができる見込みとなり、本課題に関する活動の進捗は停滞しているわけではない。そのため、「やや遅れている」という進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
外国人と働くにあたり、日本人もある程度、コミュニケーションの工夫をしていることがわかったため、日本語母語話者同士の談話(母語場面)に関する調査、外国人就労者と日本語母語話者との談話(接触場面)に関する調査を両面で進めていくこととする。そのための調査協力先への説明・働きかけを経て、本調査を実施し、同時進行で分析や研究生化効果のための活動も行っていくつもりである。 具体的には母語場面の談話分析を中心に行っていくが、接触場面の談話との比較分析も行い、日本語教育への援用を考える際に参考にしていくつもりである。調査は来年度で全て終え、利用許諾も得るところまで進めたいと考えている。
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