研究課題/領域番号 |
22K00642
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
林 ひょん情 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (30412290)
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研究分担者 |
張 セイイ 宮崎大学, 多言語多文化教育研究センター, 講師 (60791332)
玉岡 賀津雄 名古屋大学, 人文学研究科, 名誉教授 (70227263)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 社会的迷惑場面 / 迷惑度の認知と言語行為 / 日中韓比較 / 日本語学習者 / 日本人母語話者の評価 / 迷惑場面 / 認知と言語行為 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日中韓の母語話者および中国語と韓国語を母語とする日本語学習者を対象にした迷惑場面における横断的調査を行い、(1)日中韓の母語話者の迷惑行為に対する認知(規範)と注意行為の有無、それに対する謝りの遂行方法の相違を解明する。また、(2)中国語と韓国語を母語とする日本語学習者の諸要因について検討し、どのような要因が語用論的転移の起こりやすさに影響を与えるのかを明らかにする。さらに、(3)「言語行為の適切さ(違和感)」の観点から、日本語学習者の語用論的転移について日本人母語話者はどのように評価するのかを検証する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、日本、中国、韓国の大学生176名対象に実施した社会的迷惑行為に関する認知(迷惑度)と注意するかどうか(注意行動の有無)に関する質問紙調査のデータを分析し、その結果を韓国日本研究総連合会第12回国際学術大会にて報告した。分析で用いた調査参加者の内訳は、日本人母語話者(JNS)が57名(女性48名、男性9名)、中国人母語話者(CNS)が59名(女性44名、男性15名)、韓国人母語話者(KNS)が60名(女性35名、男性25名)である。特に日中韓の文化における注意行為の有無が、迷惑度の程度にどのように影響するのかに焦点をあてた分析からは次の結果が示された。(1)迷惑度が高くなるにつれて注意をする割合が高くなる。特に迷惑度が4以上になると、過半数の人達が注意をするようになる。基本的に迷惑度が注意行動を起こすかどうかを決める主要な要因である。(2)日中韓の3グループでは、迷惑度が2未満で低い場合は3グループで違いがないものの、迷惑度が高くなると中国人と韓国人の注意行動の有無は一貫して同じ割合であり、常に日本人グループと比べて注意する割合が有意に高い。つまり、中国と韓国では、迷惑度が高くなると率直な指摘が行われるが、日本ではあまり積極的な注意行動をとらない傾向が強いようである。(3)注意行動の有無について、性差は中国人と韓国人についてみられない。日本人グループでは、迷惑度がやや高い3から4において、男性のほうが女性より注意行動を起こす傾向が強い。これは、日本人女性が男性よりも、迷惑行為に対してより寛容であることを示す。以上のように、本年度の調査では、社会的迷惑行為が個人や社会に不快感や困難を引き起こす行為であり、それに対して注意行動を起こすかどうかは、迷惑度が圧倒的に強く、その次に文化社会背景(本研究では、日中韓の違い)によって異なることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定していた、「迷惑行為における日中韓母語話者の言語行為に関する調査」のデータ分析が終わり、その結果を学会にて報告することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、中国語と韓国語を母語とする日本語学習者の諸要因について検討し、どのような要因が語用論的転移の起こりやすさに影響を与えるのかを明らかにする。具体的には、日本在中の韓国人と中国人日本語学習者を対象に、迷惑度と注意有無に関する調査を行う。そして、非日本語学習者のデータ、そして昨年度実施した韓国、中国国内における日本語学習者データと比較することで、どのような違いがあるのかを分析する。
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