研究課題/領域番号 |
22K00646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
寺岡 丈博 拓殖大学, 工学部, 准教授 (30617329)
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研究分担者 |
石本 祐一 ものつくり大学, 技能工芸学部, 准教授 (50409786)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 語彙学習 / 連想 / 動詞 / 慣用句 / 学習支援 / 連想情報 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,連想ネットワークを拡張させた語彙学習システムが生成した問題と日本語学習者の回答結果を通して,学習効果と教材作成に関する評価を行う. まず,言葉の連想情報と共起情報によって語彙の定着がどのように異なるか,語彙学習における連想と共起の選好性について分析する.この分析と並行して,事象と動作の前後関係に関して連想ネットワークを拡張させ,システムと動的な連携を図る.そして,システムが生成した語彙問題の回答結果に対して共時的・通時的な分析を行う. これらを通して日本語学習者が日本語母語話者の言葉の連想に沿って語彙を獲得すること,日本語教師が教材を作成する上で連想情報を確認できることを目指す.
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研究実績の概要 |
令和5年度は,語彙学習システムで収集した問題回答データについて更に分析を進め,海外の日本語学習者を対象に行う実験の方針を定めた.また,学習システムにおいて語彙選択問題(問題文と回答選択肢(正解語・不正解語))の自動作成の元になっている動詞連想概念辞書について連想語データの整備を行い,問題生成の効率化を図った. 分析した問題回答データは,日本語学習者の留学生26名(拓殖大学日本語別科)が回答したものである.学習者が問題に含まれる動詞について事前に「知らないで(未知)」あるいは「知っていて(既知)」回答したかどうかが回答内容(正解あるいは不正解)とともに記録されている.この学習システムの「学習」モードで学習者が間違えた問題については,学習システムの「復習」モードで正解するまで繰り返し出題し,正解するまでの回数が記録されている.この「学習」と「復習」の分析結果より,日本語能力試験N2相当以下のクラス(拓殖大学日本語別科の初級・初中級・中級)に所属している学習者の語彙学習に適していることがわかった.また,N2相当以上のクラス(拓殖大学日本語別科の中上級・上級)の学習者には,「水を差す」や「頭を冷やす」といったような慣用句としても使われる表現に関しては間違いが見られたが,「復習」の1回目ですべて正解に至っていたことからも,上級者向けには,字義通り(リテラル)ではなく,比喩などのレトリックの表現に関する学習に役立つ可能性あることを確認することができた. 一方,代表者の海外渡航が昨年度に引き続き難しかったこともあり,海外在住の日本語学習者に語彙学習システムを利用してもらうことができず,国内と海外の日本語学習の問題回答データを比較し分析することは次年度の課題として残っている.そのため,次年度中には海外在住の日本語学習者の回答データを取得すること目指したい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は,既に取得した国内の日本語学習者に関する問題回答データについて更に詳しい分析を行い,日本語のレベルに応じて語彙学習システムの出題内容を変えることで効率化に繋がる可能性を示すことができた.また,問題文と回答選択肢に必要な連想ネットワークを構成する動詞連想概念辞書に関しては,「動作主」と「対象」の連想語データの整備を行い,問題生成の質の向上を図った. 一方で,予定していた語彙学習システムを海外在住の日本語学習者に利用してもらうことに関しては,代表者が渡航できなかったため,未実施の状態となっている.そのため,次年度中に渡航し,海外の日本語学習の回答データを取得を分析することで,国内・海外の日本語学習者間で「学習」や「復習」がどのように異なるのかを調べる予定である. 以上のように,回答データの分析や語彙学習システムの整備という面においては順調に進めることができているが,海外在住の日本語学習者による問題回答データの取得と分析という面では遅れが生じているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は海外在住の日本語学習者による問題回答データを取得でき次第,国内と海外の学習者間で語彙学習システムによる学習効果について分析したい.その他,引き続き動詞連想概念辞書を整理し,連想ネットワークを拡張することを並行して取り組むつもりである.
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