研究課題/領域番号 |
22K00682
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大前 智美 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (00379108)
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研究分担者 |
岩居 弘樹 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (20213267)
渡邉 ゆきこ 沖縄大学, 人文学部, 教授 (60320529)
小渡 悟 沖縄国際大学, 産業情報学部, 准教授 (90369207)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ICT支援外国語学習 / 外国語教育 / 発音教育 / VR / 音声認識 / メタバース / ICT活用教育 / 発音学習 / コプレゼンス / 学び合い |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,VR空間に能動的外国語対話学習のための「学び合いの場」を構築し,新たな外国語教育の可能性を提案することを目的とする.申請者はこれまでに多言語対応発音学習システムST Labにより発音教育に一定の効果をあげてきた. 本研究では,共存感(sense of co-presence,以下<コプレゼンス>)を感じながら,非言語コミュニケーションも組み合わせ,より現実に近い対話環境を実現できるVR空間を構築する. この「学び合いの場」とST Labを使った「個」の「学びの場」との統合による外国語の対話能力を向上させる学習モデルを提案することを目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、VR(バーチャルリアリティ)空間に能動的外国語対話学習のための「学び合いの場」を構築し、教育実践・検証を行うことで、新たな外国語教育の可能性を提案することを目的としている。 合成音声と音声認識機能を活用した多言語対応発音学習システムST labの開発により、発音教育・指導について一定の効果を上げてきており、本システムにより学習者自身が可視化された発音結果から間違えた箇所を修正しながら発音を上達させることが従来の研究で明確となった。本研究ではさらに能動的な発音練習を可能にするため、ST Labに学習者自身が発音したい内容を登録し、発音学習するための自学モードを追加した。これにより、教員から与えられる発音の基礎学習だけでなく、学習者自身が言いたいことを言えるようにするための発音練習が実現できる。 研究2年目には、初年度に開発したST labの「自学モード」を活用した授業実践と効果の検証を行った。学習者が外国語によるプレゼンテーションを行う際に、学習者自身でST labの発音練習機能を使用し、自らの言いたいことを自律的に「通じる」発音で「話す」練習を行うことができた。ST labを活用した発音練習で、学習者の60%程度が「発音に自信がついた」、70%近くが「発音学習で達成感を感じた」、75%が「ST labが自分の外国語学習に役立った」と回答している。 ST labにより発音の学びを通じ、その発展として対話学習の場「学び合いの場」をVR空間に構築している。初年度は「VRで学ぶ中国語」(https://sites.google.com/okinawa-u.ac.jp/e-learning-vr/vr)にあるように、沖縄大学の中国語クラスでMozilla Hubsを使ったVR空間における対話学習を実践している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目となった令和5年度には、多言語対応発音学習システムST labの「自学モード」を活用し、学習者自らが言いたいことを表現できるようになることを支援した。外国語によるプレゼンテーションを行う際の発音指導の困難さを「自学モード」を活用することにより、学習者自身である程度自律的に学習するという仕組みにより解決した。学習者自身もST labの「自学モード」の活用により、発音に自信を持ち、あるいは通じない発音に着目し改善するという活動を通し、効果的に発音学習を行ったことがアンケート調査により明確になっている。 また、「学び合いの場」としてMozilla Hubsで作成したVR空間を活用し、VR空間での活動を行った。この学習環境では、特に中国語教育で活用しているが、VR空間における体験・経験を活かした会話や発音、表現を経験的知識として学習者が身につけていることを実感している。 Thinglinkと360度画像を用いたVR空間づくりやプレゼンテーションなどの実践も行っており、今後より多くの実践を通して、学習効果の測定や幅広い対話学習のための「場」の構築を進める。 以上の点から、研究は当初の予定通りおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
ST labの「自学モード」を使っていく中で、学習者が直面している問題の解決を進めるとともに、より多くの学習者に利用を促し、発音学習の効果検証と問題点の解決を行う。 「個」の「学びの場」としてのST labから、学習者同士のつながりの「輪」、「コプレゼンス」を感じる対話学習、経験を通して記憶に残すための活動をする「場」としてのVR空間の活用を推し進める。そしてより多くの授業での活用、多くの教員との共有により、VRを活用した外国語教育研究を進める。 さらに、海外の大学で日本語を学習している学習者と日本の大学生との交流を行い、国内外における外国語を活用した「学び合い」を実現するよう研究を進める予定である。
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