研究課題/領域番号 |
22K00691
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
星井 牧子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90339656)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 外国語教育 / ドイツ語教育 / 第二言語習得 / 学習者言語 / 文法習得 / 非流暢性 / インタラクション能力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、非流暢性とされる言語現象に焦点を当て、ドイツ語習得段階を文法習得とインタラクション能力の両面から考察し、これまでの第二言語習得研究およびドイツ語教育研究の成果を補完し、教育現場に還元することを目的とする。ドイツ語学習者の実際の言語使用から出発し、発話における非流暢性を示す現象を手がかりに、学習者の言語運用能力を包括的に捉えなおす試みである。学習の初期段階を示し、克服すべきものとされてきた「非流暢性」を示す現象を対象としつつ、言語使用において果たす機能に積極的な意味づけを行うことで、学習者の言語使用と言語習得全般に対する普遍的な理解への寄与を目指す。
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研究実績の概要 |
ドイツ語習得に関しては、Pienemannの提唱する処理可能性理論に基づく習得段階が広く知られている。本研究は、学習者の発話における「非流暢性」を示す言語現象を学習者の文法知識とインタラクション能力の指標と捉えることにより、ドイツ語習得段階をめぐる議論に補足的な知見を提示し、ドイツ語教育研究およびドイツ語教育の現場への還元を目指すものである。 令和5年度は、前年度に引き続き、学習者言語の非流暢性およびインタラクション能力に関する先行研究を検討した上で、主にドイツ語学習者のインタビューデータを用いて、学習者の発話にみられる言いなおしと言いよどみの出現箇所を分析した。並行して、多人数コミュニケーション場面の発話データの分析と新たなデータの収集を行った。 処理可能性理論では、ドイツ語の語順は「枠構造(SEP)」<「主語と定動詞の倒置(XVS)」<「副文における定型後置(V-END)」の順で習得されるとされ、ドイツ語圏で出版されている教科書では、文構造の導入はこの習得順序を考慮したものとなっている。またGriesshaberにより提唱されたProfilanalyseによって、学習者の到達度チェックにも応用され、言語教育の現場で広く用いられるようになっている。しかし、インタビュー場面での学習者の発話を用い、XVSとV-ENDの産出時における言いよどみと繰り返し、自己訂正の出現を分析したところ、非流暢性との共起はV-ENDよりもXVSに多く見られることがわかった。 また母語話者の自然な発話にも言いよどみや言い直しなどが見られるが、教材の会話文は、非流暢性を示す現象のない会話が多く、習得段階の指標としての流暢性の他、学習目標としての流暢性も再検討の必要があると考えられる。 研究の途中成果の一部は、ドイツ応用言語学会(GAL2023、マインツ大学)で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多人数インタラクション場面の発話データについて、研究補助者の雇用ができず、新たに収集したデータの文字化作業が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
分析には主に収集済みの発話データを用い、引き続き学習者の発話における言いなおしと言いよどみの出現箇所と文法構造の分析をすすめる。平行して、多人数コミュニケーション場面の発話データの収集と文字化作業を進める。また、学習者の第1言語との関係を考察するために、ドイツ語圏で作成された他の学習者言語コーパスを利用して比較する他、日本語と同じSOV型の韓国語を母語とする学習者との比較を検討する。そのため、ドイツおよび韓国の研究者との研究交流と意見交換を行う。研究の途中経過を国内外の学会等で報告し、関連分野の研究者と意見交換を行う。
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