研究課題/領域番号 |
22K00756
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
迫田 奈美子 広島経済大学, 教養教育部, 准教授 (50341178)
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研究分担者 |
松宮 奈賀子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70342326)
森田 愛子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20403909)
深谷 達史 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70724227)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ピア・チュータリング / 認知カウンセリング / 学習方略 / 動機づけ / 複線経路等至性モデリング / ニーズ分析 / 外国語(英語)学習方略 |
研究開始時の研究の概要 |
多様化する大学生の英語学習ニーズへの対応として,学習者同士の学習を促すピア・チュータリングの試みが注目されている。 本研究では,認知心理学の理論に基づく学習相談である認知カウンセリングを参考に,英語ピア・チュータリング実践を展開し,参加者の学習意欲・学習方略・英語力における効果を検証する。研究対象者は,リメディアル教育を必要とするチューティと,他者の学びを支援する学生チューターである。認知心理学的な視点から学習者のつまずきを診断し,自律を支援する活動を通して,主体的・対話的で深い学びの促進が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では,リメディアル教育を必要とする学生(チューティ)と学習を支援する学生チューターの双方の英語学習の実態を明らかにし,ピア・チュータリングプログラムの効果を評価することを目的とした。この実践では,認知心理学の理論に基づく学習相談である認知カウンセリングを参考にして,ピア・チュータリングプログラムを展開した。初年度(R4)には,12人の学生チューターが年間215件,二年目(R5)には13人の学生チューターが年間322件の学習相談に応じ,利用件数は年々増加している。研究の進行状況は,以下の通りである。 1.アンケート調査: 学生チューターとチューティの両方を対象にしたアンケート調査を通じて,英語学習に関する自己効力感,学習意欲,学習方略などを明らかにした。このアンケート調査は,ピア・チュータリング実施後の変化を分析するために,次年度も継続する予定である。 2.半構造化インタビュー: 2年以上の活動経験のある学生チューター9人を対象にした半構造化インタビューを3回行い,学生チューターの英語学習意欲と学習方略の変容を検討した。 3.仮想認知カウンセリング: 学生チューターに仮想問題を提示し,チューティのつまずき診断や支援の方法を説明させ,チューティへの寄り添い方を観察した。 4.TOEIC試験の実施: 学生チューターにTOEIC試験を受験させ,英語力を客観的に測定した。TOEIC受験は年2回実施され,経年比較のデータを蓄積している。 これらの手法を使用して,ピア・チュータリングプログラムの効果を評価し,大学生の英語学習に関する認知カウンセリングの知見を提供することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度(R4)には,ピア・チュータリングの実践サイクル「準備→活動→振り返り」を開発した。二年目(R5)は,その効果検証のためのアンケート調査,半構造化インタビュー,仮想認知カウンセリングの実施が計画通り進行した。学生チューターの英語学習意欲と英語学習方略の変容について,複線経路等至性モデリングという質的研究方法を用いて分析した結果を国際学会で発表したが,成果となる論文投稿がまだできていないため,「やや遅れている」という評価が妥当であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本プログラムの実践サイクルである「準備→活動→振り返り」を継続する。このサイクルを通じて,チューティのつまずき解消のための効果的な指導方法を蓄積するとともに,学生チューターの学び合いを促す研修の継続により,チューター同士が知識や経験を共有し,より効果的な支援を提供できるようプログラムの質を向上させる。次年度は16人の学生チューターが活動予定であり,年間300件の相談が見込まれるため,計画通り実践を推進できると考えている。その一方で,チューティによる突然のキャンセルや,学期末の予約殺到という新たな問題も発生している。そこで,チューティの学習成果の向上を図るために,原則5回の学習相談をするという登録制を導入することにした。登録期限を設けることにより,学習相談の適切な計画と管理が可能になり,学習の質の向上が期待される。最終年度である三年目(R6)は,これまでに得られたデータと合わせて,学生チューターとチューティの英語学習の変容を明らかにし,本プログラムの効果検証をする。これにより,プログラムの成果や課題を客観的に把握し,将来の改善策について提案する。
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