研究課題/領域番号 |
22K00767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
清水 義彦 富山県立大学, 工学部, 准教授 (90548322)
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研究分担者 |
山西 潤一 富山大学, 教育学部, 名誉教授 (20158249)
岡崎 浩幸 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (20436801)
加納 幹雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70353381)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 英語教育 / 総合的な探求の時間 / 探究活動 / 海外との協働授業 / ICT活用 / 動機付け |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル化・情報化の時代にあって本科研の研究命題である「日本の若者の国際競争力を高める」には、英語コミュニケーション力の育成と同時に真に実践的な問題解決能力の育成が求められている。3期10年の科研事業の研究成果は、ICTと英語を組み合わせた小・中・高校の「海外交流学習モデル」を開発し、この学習モデルは児童生徒の英語コミュニケーション能力の向上への内発的動機付けに有効性を示したことである。一方で見えた課題は以下の2つである。 課題1.学習内容の系統性に関して異校種間の未接続 課題2.日本の若者の国際競争力を高めるには英語授業だけでは限界あり 今回はこの2つの課題解決を継続的な研究課題として設定した。
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研究実績の概要 |
グローバル化・情報化の時代にあって、本科研事業の研究命題である「日本の若者の国際競争力を高める」には、英語コミュニケーション力の育成と同時に真に実践的な問題解決能力の育成が求められている。過去3期10年に渡る基盤研究C事業の課題として、1.学習内容の系統性に関して異校種間のスムーズな接続が進まなかったこと、2.日本の若者の国際競争力を高めるには単一教科の英語授業だけでは内容の深まりが計画通りにはいかなかったこと、があげられる。課題1.学習内容の系統性に関して異校種間のスムーズな接続に関しては、2023年度は小学校と中学校の「接続部分」、いわゆる「のりしろ」の整合性を取ることに焦点を絞った。異なる学校では、教員間のコミュニケーションが容易ではないので、小中一貫校を研究の場として選んだが、小学校、中学ともにキーとなる教員の人事異動が重なった。市の教育委員会のサポートのもと交流授業は複数開催でき双方の連携も模索している。課題2に関しては、「総合的な探求の時間」の授業展開を英語授業とリンクさせる授業が、2022年度に引き続き同じ高校で海外パートナー校と「協働型問題解決学習モデルVer.2」を開発した。台湾と富山双方で、同じ教員が2年目の担当となる幸運にも恵まれ、課題2の方は、内容がさらに深まり、事前事後の生徒の意識の変容、その意識変容からの行動の変化も確認できた。また今回は、台湾の参加者が富山の高校生と同じ質問紙に回答し、データが得られた。双方の意識の違い、その意識の違いは何が要因であるかを現在検証しており、近く学会で発表する予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題1継続:「英語授業」での実践研究(海外交流学習・・異校種接続部の学習内容の系統性を整える) 2023年度は、小学校ー中学校接続部の研究協力校の小中一貫の義務教育学校では、本事業の取り組みを一般公開、講評、修正という計画であった。マスコミにも公開され反響を得たことは成果であったが、担当が本事業1年目であり、過去4年間の蓄積が授業内容になかなか反映できなかった点もある。中学校ー高等学校接続部は、進学校同士の接続を今年度も試みた。結果は、2022年度同様、1.中学校側に時間的余裕がない、2.進学校という高校への意識の壁が中学校教員側にある、というような状況であり、週末の月1回の勉強会での交流の場をセットして相互理解は深めたが、協働作業となると難しい状況であった。 研究課題2新規:「総合的な探求の時間」での実践研究(海外協働型 問題解決学習・・70時間モデルを開発(高校版)) F高校と台湾の中高一貫校では、昨年度の引き続き交流学習を行った。2022年度は、副担当であった教員が2023年度は主担当となり、昨年のモデルを継承した。両校は、この協働型問題解決学習モデル開始前の5年間の英語交流授業の経験があり、管理職や周囲の教員の理解も得られ、進学校ならではの制約比較的少ないため、順調に研究実践は進んでいる。「総合的な探求の時間」の授業展開を英語授業とリンクさせ、「違い」に関する同じトピックを選んだ台湾ー富山の生徒がペアを組み、日台の違いの根底にあるものを探究し、その二人で英語3分プレゼンテーションする「探究活動モデル」を創った。台湾と富山の高校生が同じアンケートに回答でき、双方の意識の違い、その意識の違いは何が要因であるかを現在検証している。進学校の生徒の持つ潜在能力を引き出し、学校の特色づくりに本事業を活用していた。高校のニーズと本事業がうまくかみ合っていることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題1継続:「英語授業」での実践研究(海外交流学習・・異校種接続部の学習内容の系統性を整える) 研究計画では、2年での成果を参加校内で実践→評価・最終点検→完成・公開し、完成版を普及拡大へ、となっている。しかしながら、2023年度の進捗状況にも書いた通り、小学校から中学校への接続部の研究協力校の小中一貫の義務教育学校では、再び担当が人事異動で転出し、また1年目の教員が担当することになた。小規模校で、英語教員は教頭職と異動してきた教員の2名ということで択の余地はない状況である。これまでの過去5年間の蓄積が授業内容になかなか反映できないことが予想でき、別の学校での展開も考えたい。 中高接続部も新たな展開をすでに計画している。 研究課題2新規:「総合的な探求の時間」での実践研究(海外協働型 問題解決学習・・70時間モデルを開発(高校版)) 研究計画として、2024年度は、2022~2023年度の検証を基に実践、参加校増の予定、となっている。F高校の継続の意思確認は管理職、英語科は終えており、海外パートナー校も継続の意向である。他校で本事業に10年前からずっと参加している教員がF高校に異動し、すぐに交流授業担当になったことがあり、F高校での内容はさらにいい検証へと向かう。計画段階から70時間モデルを意識している。新規として、2023年度にインドネシア・ジャワ島の高校と交流し始めたG高校に関しては、探究活動が本格化する2024年度に交流することを予定している。 最後に、あまり進んでいない中学校での実践に関してどのように良い方向へ研究の環境を進めていくかを書く。昨年まで本事業を中学校で展開していたキーの先生が、2024年度より高等教育機関へと転職した。今後は、その人物を本事業の研究分担を依頼し、中学での実践指導の役割を委嘱する予定にしている。中学現場を知る人材が本事業に加わる。
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