研究課題/領域番号 |
22K00789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田村 美香 九州大学, 工学研究院, 准教授 (60717677)
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研究分担者 |
池田 大輔 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (00294992)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ICT / CALL / 非同期型学習 / フィードバック / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、初中級レベルの日本語学習者を対象に、非同期対話型のICT教材・フィードバック提供システム「PairBear」を独自で開発し、同期型授業(オンライン・対面)との融合による外国語学習モデルConnection-based Language Learning (CBLL)を提唱及び実践し、異分野融合による協働型アクションリサーチによりその有効性を調査する。CBLLでは、学習者の日本語の発話練習機会を増やし、発話などの運用に対して学習者の興味、他の学習者の発言、過去の学習内容など、様々な言語活動とリンクさせることで、日本語コミュニケーション能力を中級レベルへ効率的に向上させることができる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、初中級レベルの日本語話者の口頭コミュニケーション力を飛躍的に高める学習方法を模索し、対面・オンラインの同期型授業との融合により革新的な外国語教育モデルを提示、実践することである。具体的には、非同期対話型のICT教材・フィードバック提供システム「PairBear」を独自で開発し、同期型授業(オンライン・対面)との融合による革新的な外国語学習モデルConnection-based Language Learning (CBLL)を提唱及び実践する。さらに、本研究は、応用言語学と情報科学の異分野融合による学際的「協働型アクションリサーチ」によりその有効性を調査する。 具体的には、次の6ステップにより調査を進める。1) 問題の確定、及び2)予備的調査については、事前のパイロットスタディで既に実施済みであったため、3)仮設の設定、4)計画の実践、 5)結果の検証 のサイクルを令和4年と5年の2年間に4回実施する。 このサイクルにより、令和4年度は、主に非同期対話型のICT教材・フィードバッグシステムに次のような2回の改善を行った。まず、2021年度に実施したパイロット実験では、統制されていない学習環境における学習システムの基本要件を明らかにした。この要件を基にして、前期に既存のプロトタイプシステムに、学習者の行動をより詳細に記録するための機能を追加した。これにより、学習者のシステム上での詳細な操作、学習者のデバイスで発生したエラーが明確に記録されるようになった。後期には、openAIが開発した音声認識モデル"Whisper"をプロトタイプに導入し、発話音声を文字起こしできるように改善した。前期の時点では、フィードバックは模範回答の提示のみであったが、文字起こしのできる後期では、文字起こしの結果に対しての被験者の発話行動、アンケートの回答において有効性が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である令和4年は、非同期対話型のシステムの「PairBear」を独自で開発し、2回の改善と3回の実験を行っている。また、同期型の授業においても2回のアンケート調査とレベル判定インタビューを実施し、本研究が提唱する非同期対話型ICTと同期型授業の融合型外国語教育モデルによる教育実践の有効性の調査をスケジュール通り進めている。評価はまだ進行中であるが、学習者の日本語のコミュニケーション能力の向上が確認できているため、研究は全体においておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、同期型の授業においては、令和2年度のアンケートとレベル判定インタビューの結果を分析、評価し、同期型授業の改善、効率化を行う予定である。令和4年に関しては、コロナ禍の影響下で、同期型の授業をオンラインで実施していたが、今後は対面で実施する予定だ。そのため、オンラインと対面の同期型授業の比較調査により、新たな知見も得ることができると期待している。 一方、非同期型のICT教材の開発は、3月に4週間の短期集中実験を、通常の2回のサイクルに加えて実施しており、システム上で被験者の発話音声と自信ラベルが収集し、学習者の静的な自信を調査するためのアンケート調査を実施している。この調査は、日本語学習者のコミュニケーション活動における言語使用不安や自信、Willingness to Communicateなどの心理的側面への非同期型スピーキング教材の使用による言語学習の有効性を調査することを目的に本研究の主題と並行して、令和5年に分析評価を行う予定だ。令和4年に本課題の研究費で購入しPCを、実験に用いるプロトタイプシステムを動作させるためのWebサーバとして使用することとなった。これにより、システムにおいて文字起こしなどの処理を行うグラフィックボードの性能がり向上したため、短時間でのデータの処理、フィードバックの生成が可能となり、高精度の処理モデルの動作が期待される。今後はこれらの研究成果をまとめ、発表を行っていく。
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